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中村航輔が語るサッカーと将棋の共通点 ネルシーニョ監督は「今日は矢倉。絶対に矢倉にしろよ」タイプ
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKenji Imura
posted2020/09/10 11:35
フィールドプレーヤーを最後方から見ると考えれば、GK中村航輔が将棋にハマったのも自然なことなのかもしれない。
ネルシーニョ監督は“厳格な棋風”
サッカーは選手の配置によってフォーメーションや戦い方も決まっていく側面があり、試合の流れや相手の形を見て、自分たちの形を変えることもある。
将棋も同様に、自分の得意戦法を貫くこともあれば、相手の出方によって守備陣形や戦法を変えて戦うこともある。どう変化するかが「棋風」と呼ばれ、サッカーではそれが「チームスタイル」になる。
「そこは監督によって違いますよね。同じ状況でもそれを『良し』と判断する監督もいれば、『良くない』と判断する監督もいるわけで、そういう違いを見るのが面白いです。J1には18チームがあって、クラブや監督のスタイルも色々ありますから」
ちなみに中村が所属する柏レイソルのネルシーニョ監督は、どうだろうか。国内屈指の名将として知られている指揮官だが、棋風で言えばだいぶ厳格そうなイメージだ。
「厳格ですよ。『今日は矢倉をやるから、絶対に矢倉にしろよ』と言うタイプです(笑)。もし駒である選手が『でも、今日はこっちに行った方が良い気がする……』と少しでも違う方に動こうとしたら、『いや、今日は矢倉だろ?』と言いますね」
思った通りの反応が返ってきた。
定跡通りと、駒通りではない動き
そんな厳格な名将のもとで、彼はゴールキーパーというポジションでプレーしている。ゴールを守る最後の砦は、盤上の駒に例えるならば、やはり王将になるだろうか。自らの果たす役割を含め、どう捉えているのだろうか。
「基本的には守られる駒なので、動きも制限されています。囲いの中に入らないとか、ちょっとした違いはあるかもしれませんが、歩の前にまで出て行ったりするわけじゃないので(笑)。もちろん、柏レイソルのゴールキーパーとしての役割を果たすための指示は、監督からありますし、GKコーチからもあります。
でも、そういう定跡通りに動けることが求められながらも、実際の試合では、その通りではない動きもしなくてはいけない時がありますよね。サッカーは選手が駒通りには動かないですし、レフェリーもいて、自分がコントロールできない領域も多いですから」