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幻のバロンドーラー、レバンドフスキ。
活躍の陰に妻アンナとの生活改善が。
posted2020/08/22 18:05
text by
アントワーヌ・ブーロンAntoine Bourlon
photograph by
Bernard Papon/L'Equipe
ロベルト・レバンドフスキインタビューの続きである。独特のPKの蹴り方から話は再開し、アスリートとしての日常生活の律し方、モラルをどう保ちながら社会と向き合い、人としてどう生きるべきかという人生の問題にまで及んでいく。
個人的な感想を言えば、少々優等生過ぎる感も否めないが、常に模範となることを意識しているのがナチュラルな彼の人間性なのだろう。レバンドフスキにはそんな透明感がある。バロンドールについても、最後のコメントはこの時点での彼の本音であったのだろうと思う。
監修:田村修一
(前編は記事最終ページ下の「関連記事」からご覧になれます)
サッカー界で革新的なPKの技術を生み出した背景。
――NBAのスターであるステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)は、新しい3ポイントシュートを生み出しましたが、あなたはPKにおいて同じことをしました。
「(怒ったふりをしながら)それはまだ秘密だ!(笑)。ここで種明かししたら、GKたちがどう対処したらいいかわかってしまうだろう。
確かに僕はPKの蹴り方を大きく変えた最初の選手なのだろうと思う(註:キックの1歩前にほんの一瞬立ち止まり、GKの動く方向を確認しながらボールをその逆に蹴り込むやり方。一連の動きはスムーズで100%に近い成功率を誇っている)。
今は真似る選手も多くなった。ただ、PKは運の要素が強くて、それはこれからも変わらないだろう。僕の目的はシンプルだ。成功の確率を高くする。それこそが大事なことで、あのやり方は僕のやりたいことを反映している。それ以上は言えないね。
実際にどう動いているか、どんな練習であのやり方で蹴れるようになったかは秘密にしておくよ。他の選手もトライしているのを見ると、ちょっと誇らしく思う。いい蹴り方であることが認められたわけだから」
――あの蹴り方を思いついてから、試合で試すまでにどれぐらい時間がかかりましたか?
「とにかく練習をした。優れた感覚を身に付けるには、繰り返し練習するしかなかった。身体が自然と動くようになるまで、毎日のように居残りで練習をした。本当に長い道のりだった。1週間やそこらで、自分の蹴り方を変えることなどできない。すべてがシステマティックになるまでには、そこに至るまでのプロセスがある。
あのやり方で初めて蹴ったのはペップ(グアルディオラ。2013~16年バイエルン監督)のときだったけど、準備には少なくとも1~2カ月はかかったかな」