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バルサ粉砕、バイエルンの周到さ。
コロナ禍での“ブロイヒの準備”とは。 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/08/19 17:00

バルサ粉砕、バイエルンの周到さ。コロナ禍での“ブロイヒの準備”とは。<Number Web> photograph by Getty Images

CL史に残る圧勝劇を飾ったバイエルン。それを生み出したチームスタッフの働きも無視できない。

サイバートレーニングの効果てき面。

 ボアテンクは「可能な限り早い時期にトレーニングを始められたのが鍵だったと思う。ブロイヒのトレーニングプランは素晴らしかった。あのおかげで僕らのコンディションはすごくよかった。CLのような大会で、相手チームが疲れてきた時間帯に、もう一度ギアを入れることができるのはとても重要だ」と、『サイバートレーニング』の効果を口にする。

 実際、リスタート後のバイエルンは13戦全勝を果たしている。

 ただし、CL決勝トーナメントに向けて不安材料がなかったわけではない。ヨーロッパでいち早く再開されたブンデスリーガはシーズン終了も早く、ドイツカップ決勝からCLの決勝トーナメントまで1カ月以上時間があいてしまった。

 クラブは13日間の休暇を選手に与えたが、その間にイングランド、スペイン、イタリアでは遅れて再開されたリーグが続いている。試合のリズムがある方が有利なのではないかという危惧があったわけだ。

 しかし、ブロイヒは「正しいタイミングで休暇を取れば、マイナスに働くことはないと思う。長いシーズン後は休養をとるべき時期だ。選手にとっては、しっかり休めたことがプラスになると思う」と見解を述べていた。

 どのように事象を捉え、どのように解釈し、どのように準備をするのか。ブロイヒには明確なプランが見えていたようだ。

「コンディションが整っていなければ」

 チーム練習前に『サイバートレーニング』に取り組んでいたことによって、バイエルンの選手たちは万全のコンディションを作り上げることができていた。チーム練習再開から数日後に行われたマルセイユとのテストマッチでは、ほとんどの選手がコンディションを仕上げていた。

 2014年のW杯後、国際コーチカンファレンスにおいて、U-21代表でフィットネスコーチを務めるクルノスラフ・バノブチッチが言った言葉を思い出した。

「コンディションを整えれば優勝できるなんてことはまったくない。だがコンディションが整っていなければ、そもそも戦うこともできない」

 フリック監督は「毎回のトレーニングでしっかり自分のリミットと向き合い続けていくことで選手は成長していく」と言う。ブロイヒのコンディションコントロールがあるからこそ、選手は全力で目の前の練習に取り組み、試合で本領を発揮することができる。

 今、様々な歯車が噛み合っているドイツ王者バイエルンは、このまま欧州の頂上に立つことができるのだろうか。その可能性は決して小さくない。

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