スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
久保建英を智将エメリ自ら口説く。
ビジャレアル初タイトルへの本気度。
posted2020/08/20 11:30
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
久保建英のスペイン2年目の挑戦がはじまった。
数あるオファーの中から新天地に選んだのはビジャレアル。毎年ラ・リーガで上位を争う国内の第二勢力でありながら、ファンやメディアの過剰な圧力とは無縁のアットホームな町クラブでもある。
成長著しい19歳にとって、さらなるステップアップの場としては好条件が揃っているだけに、今から新シーズンの活躍を楽しみにしているファンは多いはずだ。
昨季5位も監督解任、エメリ招聘。
それに今季のビジャレアルは本気だ。
それはハビエル・カジェハ前監督との契約を解除し、ウナイ・エメリを招聘したことが物語っている。
カジェハは7シーズンに渡ってビジャレアルでプレーしたOBで、指導者としてもビジャレアルのフベニールでキャリアをスタートし、Bチームを経てトップチームを任されたクラブ叩き上げの監督である。
2018年12月には成績不振で解任されたが、後にフェルナンド・ロッチ会長自ら「私の間違いだった」と非を認め、わずか50日後に復帰させている。
その後カジェハはチームを立て直し、昨季はラ・リーガで5位に導いた。だから普通に考えて、このタイミングで解任する理由は見当たらなかった。
それでもビジャレアルがエメリの招聘を決断したのは、長年の悲願であるクラブ初タイトルを獲得し、もう1つ上のレベルにたどり着くためなのだろう。