プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・坂本だけではない。各球団、
「筋肉系」の故障者が増える理由。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/07/10 15:00
左脇腹違和感のため7月9日の阪神戦を欠場した巨人・坂本。巨人では田口やデラロサなど主力に故障禍が広がっている。
日本とほぼ同じ現象が、韓国でも起きていた。
6月3日付の中日スポーツの名物コラム「龍の背に乗って」で渋谷真記者が、落合監督のこんな証言を紹介している。
「肉離れが多発しているんですよ。どの球団にも1人は出たって感じです。投手なら脇腹、野手はふくらはぎ、太ももですね」
この時点で韓国プロ野球も開幕からほぼ1カ月が経過しようとしている時期だった。そこでいまの日本とほぼ同じ現象が、韓国でも起こっていたということだ。
考えられる理由として落合監督が推察したのが、やはり新型コロナウイルスによる開幕延期と調整期間の問題だという。
「練習期間にはユニホームを着ないでしょ? 体が締め付けられるっていうか、やはり感触が違うんです」
戦闘モードでの体の負担の違い。
要は本当の意味での戦闘モードに入ったときの体の負担の違いということだ。
「無理をするなと頭ではわかっていても、いざ試合となれば本能がリミッターを振り切ってしまう。韓国で起こったことは、日本でも起こり得る」
「120試合といつもより短いシーズンではあるが、序盤は自分が思っている以上にブレーキが必要だということだ」
同記者はこう結論付けている。
専門家の立場から見るとどうなのだろうか。何人かの選手のケアと治療を行っているあるトレーナーに聞くと、やはり調整期間の違いと急仕上げの問題という見解が返ってきた。
「プロ野球選手は自主トレからキャンプ、オープン戦と一連の流れの中で1つ1つ積み上げるように体と気持ちを作って開幕に臨んできます」