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三沢光晴夫人ら被害は「1億円超」…プロレスリング・ノアを襲った“巨額詐欺事件”の手口は? 急逝「昭和プロレスの語り部」が明かした“ノア崩壊”ウラ話
posted2024/12/04 11:16
text by
欠端大林Hiroki Kakehata
photograph by
BUNGEISHUNJU
プロレスラー・三沢光晴(享年46)がリング禍に見舞われたのはいまから15年前、2009年のことであった。
戦後のプロレス史にその名を刻んだレジェンドの急死は業界に大きな衝撃をもたらしたが、三沢が創設した団体「プロレスリング・ノア」はその数年前から経営不振が表面化しており、日本テレビ系列による「地上波中継打ち切り」の衝撃とあいまって、団体は人的リストラを余儀なくされていた。
そのリストラ第一弾が、レフェリーだったマイティ井上さん、そして泉田純、本田多聞、菊地毅、川畑輝鎮、橋誠といった中堅、ベテラン選手たちだった。
すでに還暦を迎えようとしていた井上さんは、自身のリストラを受け入れる一方、解雇通告を受けた選手たちの進路相談にも乗っており、そのうちの1人が泉田だった。
経営不振のノアを襲った「巨額詐欺事件」
その時期と前後して、ノアの周辺には「救世主」と目されていた太いタニマチが出現していた。「謎の小田原夫婦」こと、神奈川県・小田原市に住むN氏とその妻(N夫人)である。
N氏は稲川会系の組長代行もつとめた元暴力団幹部で、もとはノアの取締役をつとめていた永源遙(故人)の知人だった。そして一見、地味な中年女性に見えた妻のN夫人。その正体は、ヤクザも驚く名うての「プロ詐欺師」だったのである。
後に分かったことだが、N夫人は徳島県や京都府など、全国のお年寄りから総額16億円以上もの金銭をだまし取っており、その金を自身の遊興費や、ノアの若手選手をはべらせる「タニマチ遊び」に使っていた。
この「詐欺師夫人」に目をつけられ、被害者となってしまったのが三沢光晴夫人と泉田である。夫人は三沢の死亡保険金約5200万円、泉田に至っては約8800万円という巨額のカネをN夫人にだまし取られた。