プレミアリーグの時間BACK NUMBER
カントナ級存在感でマンUを正常化。
新顔B・フェルナンデスが生む違い。
posted2020/07/08 08:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
マンチェスター・ユナイテッドの試合を見たい。
6月30日のプレミアリーグ第32節ブライトン戦(3-0)の勝利で、直近のリーグ8試合を5勝3分けとして意気揚がるマンUは、リバプールの優勝が決まった現在、試合自体の重要性などは抜きにして単純に「見たい」と思わせるチームだ。
ブライトン戦と、その前節のシェフィールド・ユナイテッド戦(3-0)での2連勝は、昨季途中から指揮を執るオレ・グンナー・スールシャール体制下で最高の完勝だろう。
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その痛快な勝ちっぷりは、プレミア無敗街道に乗る直前の第24節バーンリー戦、0-2で敗れた一戦の不甲斐ない内容と結果にホームの観衆からもブーイングを浴びたチームとは別人のようだった。
畳み掛けるような攻撃の迫力にしても、カウンターの勢いにしても、栄光に満ちたサー・アレックス・ファーガソン時代を彷彿させるものがあった。ちなみに、スターに事欠かなかった当時のマンUの中でも、筆者は抜群のセンスとテクニックをさり気なく披露するポール・スコールズのプレーに目を奪われたものだ。
63億円の値打ちにふさわしい活躍。
新型コロナウイルスによるリーグ中断を挟む今季終盤戦で、最も好調なチームと言えるマンUにおいては、ブルーノ・フェルナンデスの姿が強烈に目を引く。
今年の1月30日に4700万ポンド(約63億円)でスポルティング・リスボンから来たポルトガル人のMFは、デビューを果たした2月1日の第25節ウルブズ戦(0-0)から、リーグ戦8試合で5得点3アシスト。トップ下の新戦力として、その間にチームが奪った計15得点の半数以上に関与している。
四半世紀以上も前にマンUのユースから一軍に上がり、当初のセカンドトップから中盤の策士として勢力を振るったスコールズとは、同じ攻撃的MFでもタイプは異なる。だが、気づけばフリーになっているポジショニング、巧みなボールさばき、果敢にミドルも狙う積極性とシュート力といった魅力は同じだ。
マンUでのデビュー戦に関しては、巧妙なチップキックで初得点を奪ったスコールズと同じくネットを揺らすというわけにはいかなかったが、オールド・トラッフォードの観衆がバーンリー戦に続くホームゲーム無得点ながらブーイングではなく、「ブルーノ!」コールを奏でたように、強い好感と大きな期待を観る者に抱かせた。