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久保建英を非凡たらしめる要素とは。
パスを受ける前の3つの「初期設定」
posted2020/07/07 11:50
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
AFLO
現地のテレビカメラは、何度も「TAKE」を抜いた。
放送されているカードは、アトレティコ・マドリー対マジョルカ戦である。アトレティコは3位で、マジョルカは18位だ。そして、アトレティコが先制し、追加点をあげ、ダメ押し点を決めて3-0で勝利した。
アトレティコのディエゴ・シメオネ監督と選手たちがクローズアップされるべき一戦で、スペインのテレビ中継はマジョルカに在籍する久保建英の表情を何度も捉え、「TAKE」と呼ばれる19歳の仕掛けを、パスを、シュートを繰り返しレビューした。
日本時間7月4日早朝に行われたラ・リーガ34節のアトレティコ戦に敗れ、マジョルカは依然としてセグンダ降格圏の18位に沈んでいる。17位エイバルとの勝点「6」差を残り4試合で引っ繰り返すのは、直接対決が終わっていることを考えても難しい。
セグンダ降格という現実が迫るマジョルカにあって、久保の評価は7月1日のセルタ戦とアトレティコ戦を経てさらに上昇した。アトレティコ戦のテレビ中継で、敗戦チームの選手らしからぬ扱いを受けたのも、スペイン全土で注目を集めるひとりとなっているからに違いない。
久保のプレー解説と言えば、馴染みの中西哲生氏に登場していただこう。
名古屋グランパスと川崎フロンターレでプレーした氏は、バルセロナの下部組織に在籍していた当時から久保を知り、その成長プロセスに間近で接してきた。現在も定期的に連絡を取り合い、技術からメンタルまで幅広く助言をしている。
中西氏「アシスト数よりプレーの質」
17位セルタとの直接対決だった一戦で、久保は2アシストとも3アシストとも言われる活躍で、5-1での勝利に貢献しました。
現地スペインでも日本でも、アシストの数が話題に上がりましたが、アシストの定義がはっきりとしていないところがあるので、私自身は数字よりひとつひとつのプレーをフォーカスしています。