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世界有数のタレントかつ超気分屋。
ポグバを生かすための“トリセツ”。
posted2020/07/09 11:40
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
<定期的に褒めると長持ちします。 爪がキレイとか 小さな変化にも気づいてあげましょう。 ちゃんと見ていて。 でも太ったとか 余計なことは気付かなくていいからね。>
西野カナの大ヒット曲『トリセツ』の歌詞である。
微妙な女心を軽妙に表現しているとのことだが、オッサンにはチンプンカンプンだ。爪がキレイ? 女房に言った覚えは一度もない。
マンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバにも、小さな変化が感じられる。
ブルーノ・フェルナンデスとの共存が、楽しくて仕方がないようだ。ポグバのパスにB・フェルナンデスが反応する。足もとに、スペースに、欲しいところにボールが届く。ポグバがキープした瞬間、B・フェルナンデスが動き出す。B・フェルナンデスも、つねにポグバを意識している。
ロイ・キーンも珍しく毒舌ではなく。
「あいつには同じレベルで楽しめる相棒が必要だったのかもしれないな」
かつてのキャプテンで、コメンテイターを務める現在は毒舌と愛情のコラボレーションで人気を博すロイ・キーンも、珍しく後輩を慮った。
リーグ再開後のポグバは、それほどまでに軽快だ。トッテナム戦ではPKを獲得して引き分けに、シェフィールド・ユナイテッド戦とブライトン戦では高品質のパスで、それぞれ3-0の快勝に導いている。
ポグバの才能に疑いの余地はない。
世界有数のタレントであり、本来であればクリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシの後を受け、フットボール全体のトップに君臨してしかるべき男だ。
しかし、世界有数のタレントであると同時に、典型的な気分屋でもある。好調が長く続かなかったり、前半と後半で人が変わってしまったり……。継続性の欠如は、各方面で指摘されている欠点だ。