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鹿島の新スタイルいまだ完成せず。
ポゼッションの精度と攻撃面の課題。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/06 11:40

鹿島の新スタイルいまだ完成せず。ポゼッションの精度と攻撃面の課題。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

鹿島アントラーズが苦しんでいる。しかし前へ進むと決めた以上、いまは耐えるしかないのだ。

鹿島が苦しむメンバーの流出。

 鹿島の選手たちも、トレーニングで重ねてきた1タッチパスやショートパスで崩すプレーを再現しようと懸命だったが、やはりまだボールロストするシーンが多い。そうなればDF陣もなかなかラインを上げられず、高い位置でボールを奪う機会も減る。

 ビルドアップのボールを奪われてショートカウンターを受けるという2月時点で目立っていた課題は克服しつつあるようだが、攻撃にアクセントをつけるという部分での課題は残っていた。

 サッカーの形ではなく、選手自身がピッチ上で判断しながら臨機応変に戦って勝ち点を手にする。

 それが鹿島のサッカーだと選手たちは自負していたが、海外移籍などで選手の入れ替えが激しくなり、選手をじっくり育てる時間は減りつつある。チームを勝たせる「個」の台頭を待つ余裕もない。

 スタメンの約半数が昨季から入れ替わっている状態を思えば、戦術のベースを明確にする意図も理解できるが、中断期を経ても完成度はまだまだだった。

今シーズンは仕切り直しのタイミングがない。

 残念なのは、サイドの選手にボールを預けて外から駆け上がっていくフリーランニングやポストプレーで時間を稼ぐといった鹿島らしいプレーがあまり見られなかったことだろう。

 伊藤翔が途中出場してからはそこでボールが収まり、この試合でプロデビューを飾った染野がバーを叩く惜しいシュートを見せたし、ベテランの遠藤康は短い出場時間ながらもアクセントをつける彼の強みを見せてくれた。しかし、結果には繋がらなかった。

 長い中断期間を経て、ようやく2節が終わったばかりのJリーグ。年末のシーズン終了までは過密日程となり、中断期間もないため仕切り直すタイミングがないのが今季のポイントになりそうだ。

 その分川崎にとっては、大きな1勝になったに違いない。

「(再開)1試合目で勝てたので、次の試合にポジティブに向かえる。自信を持って、いろんな意味でポジティブに行けるのでよかった」

 この試合で通算300試合出場を飾った家長は試合後、勝利についてそう語った。

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