“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
レッズ青木拓矢&柴戸海の相乗効果。
リーグ戦1年ぶりの“完封”に貢献。
posted2020/07/06 20:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
4カ月ぶりのJ1再開。約6万枚のビニールで彩られたコレオグラフィーが並ぶ埼玉スタジアムでは浦和レッズと横浜F・マリノスの一戦が行われた。
開幕戦で湘南ベルマーレに勝利したものの、2失点にPK献上と守備面での不安定さが顔をのぞかせていた浦和。昨季のリーグ戦を振り返っても、34得点50失点と、失点が多さが低迷の要因となった。
再開初戦となった横浜FM戦。大槻毅監督はダブルボランチを献身的な守備と展開力が売りの青木拓矢と柴戸海の2人をチョイスした。開幕戦は柴戸と柏木陽介のコンビだったことを考えると、かなり守備的な組み合わせだ。
その狙いは昨季リーグナンバーワンの68ゴールを叩き出した強烈な破壊力を持つ横浜FMの攻撃を食い止めるべく、ダブルボランチを4バックの前で守備の防波堤として機能させることだった。
GK西川のビッグセーブもあったが。
横浜FMは立ち上がりから3トップで幅を取りながら、両サイドバックや復帰した天野純、さらにはボランチの喜田拓也と扇原貴宏がハーフスペースを果敢に狙ってきた。それに対して、青木&柴戸のコンビネーションは非常にスムーズだった。お互いの距離を保ちながら、球際の強さと予測の鋭さで立ち上がりから相手に自由を与えない。そして、DFラインの前でボールを奪うと、素早く攻撃に繋げる。浦和の明確な狙いはこの試合を通じて随所に感じられた。
結果として試合は0-0のスコアレスドロー。浦和は勝ち点3こそ掴めなかったが、ルヴァンカップを含めて今季初の無失点ゲーム。リーグ戦を振り返れば2019年7月6日のJ1第18節のベガルタ仙台戦(1-0)以来となる、実に19試合ぶりのことだった。
もちろん「最後の(GK西川)周作のビッグセーブもありましたし、セットプレーも含めて 決して全てうまくいったわけではない。お互い決めきれなかった結果だと思う。いい守備をしたわけではない」と大槻監督は手厳しい評価だったが、このダブルボランチの手応えは少なからずあったのではないだろうか。