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久保建英vs.マドリーを徹底分析。
中西哲生「相手にスキあれば……」
posted2020/06/26 08:00
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
Agencia EFE/AFLO
“白い巨人”を相手にしても、「TAKE」の立ち居振る舞いには臆するところがなかった。
日本時間の6月25日早朝に行なわれたラ・リーガ31節で、久保建英の所属するマジョルカはレアル・マドリーと対戦した。
マジョルカは0対2で敗れた。ジネディーヌ・ジダンに率いられたレアル・マドリーは、バルセロナを抑えて首位に立っている。一方のマジョルカは、降格圏の18位に沈む。結果は妥当なものだっただろう。
久保はこの日もスタメンに名を連ねた。中断前を含めれば7試合連続である。アタッカー陣で再開後の試合にすべて先発しているのは、19歳になったばかりの日本人ひとりだけだ。しかも、バルセロナ戦に続いてこの日はフル出場している。ビセンテ・モレノ監督の信頼はひと際厚い、と言っていいだろう。
久保のプレーについては、今回も中西哲生氏に解説をしてもらおう。名古屋グランパスと川崎フロンターレでプレーした氏は、バルセロナの下部組織に在籍していた当時から久保を知り、その成長プロセスに間近で接してきた。現在も定期的に連絡を取り合い、技術からメンタルまで幅広く助言をしている。
ボールをさばく局面ではミスなし。
この日のマジョルカは5-3-2のシステムでスタートしました。マイボールの局面では「5」の両サイドが高い位置を取りますが、基本的にはレアル・マドリーの攻撃力をいかに抑えるか、という戦略だったのでしょう。
ところが、ディフェンスの局面での立ち位置があまり良くなかった。両サイドを効果的に使われ、いい形でボールを奪えないのです。
2トップの一角に入った久保は、パスを受けてもセルヒオ・ラモスかラファエル・バランを背負っている。2トップのパートナーのアンテ・ブディミルも同様で、彼らふたりがいい状況でパスを受けられず、前半のマジョルカはつながりのある攻撃を繰り出せなかった印象でした。
久保にも見せ場は訪れませんでしたが、ボールをさばく局面ではミスをしていません。どの試合でも感じさせることですが、ワンタッチプレーの正確さとバリエーションは際立っていました。
序盤から背中越しの圧力を感じていたので、ワンタッチで効果的にボールを離すことを意識していたのでしょう。アウトサイドやヒールも使いながら、相手のパワーがどこへ向かっているのかを読んで、確実にパスをつないでいました。