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鹿島の新スタイルいまだ完成せず。
ポゼッションの精度と攻撃面の課題。

posted2020/07/06 11:40

 
鹿島の新スタイルいまだ完成せず。ポゼッションの精度と攻撃面の課題。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

鹿島アントラーズが苦しんでいる。しかし前へ進むと決めた以上、いまは耐えるしかないのだ。

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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J.LEAGUE

 6月27日のJ2に続き、7月4日にJ1リーグが再開した。

 等々力スタジアムのスタンドは無人だったが、「桶(オーケ)ストラシート」と名づけて販売されたシートには購入者の顔写真が貼られた桶が並び、ホームの川崎をバックアップしていた。

「久々の公式戦。サッカーを楽しもう。勇姿を見せよう」と川崎フロンターレの鬼木達監督は、選手を送り出した。

 試合は、2-0と川崎がリードした直後に鹿島がオウンゴールで1点を返すが、そのまま終了した。

 鹿島の内田篤人は試合後にため息をつき、自身の判断の甘さが川崎に2点目を奪われることに繋がったと話した。

「僕はJリーガーになりたくてサッカーをしてきました。ここまで長い中断は初めてのこと。ここからは新しい歴史を作る気持ちだ。僕らが止めてはいけないという気持ちで試合に入った。のに、内田は……はぁっていうプレーを前半にやってしまった」

これで公式戦4連敗。

 今季から就任したザーゴ監督が「今までとはまったく違うサッカーをしている」と語るように、ショートパスを繋ぎ、ボールポゼッションを重視する新スタイルを目指している。

 しかし1月1日の天皇杯決勝、1月28日のACLプレーオフで敗れ、2月16日のルヴァンカップでも0-1の敗戦。リーグ初戦の広島戦でも0-3と完敗。中断を挟んで、今季の公式戦4連敗を喫することになった。

 この日のキックオフ直後、川崎は右サイドへボールを展開した。ゴールに背を向けてボールを受けた家長昭博に、鹿島の永戸勝也が身体を寄せる。家長のバックパスは鹿島の左MF和泉竜司の足元へ転がった。ここでボールを奪えれば、プレッシング成功だったが、和泉の足に当たったボールが跳ね返って川崎ボールとなり、そこから先制点を生む左のコーナーキックにつながった。

【次ページ】 選手たちが受けた精神的ダメージ。

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