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EURO2020延期で誰が得した?
1年という時間がもたらす影響。
text by
デーブ・アパドゥーDave Appadoo
photograph byFranck Faugere/L'Equipe
posted2020/06/28 19:00
EURO延期のため36歳で臨むことになったクリスティアーノ・ロナウド。この1年が彼にどんな影響をもたらすのか。
損事例3:クラブワールドカップ
ジャンニ・インファンティーノFIFA会長は頭を抱えていることだろう。それは2015年秋のFIFA会長選挙出馬直前に、ミシェル・プラティニとゼップ・ブラッター(当時のUEFA会長とFIFA会長。カタールゲートとそれにともなう一連のスキャンダルでともに表舞台から消えた)の情報を極秘裏に収集したことが暴露されたからだけではない。EUROの延期により、彼自身の肝いりで2021年6月17日~7月4日に中国で開催される予定だった24チームによるクラブワールドカップも、延期せざるを得なくなったからである。
現行の7チームから24チームに規模を拡大することで、FIFAが得る利益は500億ユーロと試算されている。ワールドカップと並ぶFIFAの新たなドル箱になる大会だ。延期の影響がどれほどのものであるかはまだ分からない。
損事例4:女子EURO2021
ある意味、EURO2020の延期の直接的な被害を最も受けているのがこの大会かもしれない。イングランドで2021年7月7日~8月1日にかけておこなわれる予定であった女子EUROも、いまだ正式発表はないものの2022年の同じ時期の開催に変更になる模様である。というのも東京五輪が1年延期となり、さらに男子のカタールWCが11月21日~12月18日に開催されるために、他に日程のとりようがないからだ。
世界の女子サッカーはいまだクラブよりも代表が中心で、ワールドカップ、五輪、EUROの3つの大会がショーウィンドウであり推進力にもなっている。競技自体の発展のためにも、メジャーイベントの連鎖を断ち切ってはならない。大会の成功が、発展のカギを握っているのだから。