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ロナウド「4度目の正直」で初制覇。
EURO2016に刻んだリーダーの素質。

posted2020/06/22 11:00

 
ロナウド「4度目の正直」で初制覇。EURO2016に刻んだリーダーの素質。<Number Web> photograph by Getty Images

EURO初制覇を達成したロナウド(右/2016年)。結果を出すことで引っ張ってきたロナウドだが、この大会では仲間に歩み寄る姿勢が目立った。

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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Getty Images

コロナ禍で多くのスポーツが延期や中止されるなか、Number Webでは、『Sports Graphic Number』の過去の記事のなかから、「こんなときだからこそ読んで欲しい」と思う記事を特別公開します! 今回はクリスティアーノ・ロナウドが悲願の初制覇を成し遂げたEURO2016を振り返ります。リーダーとして牽引する姿の裏には、母国開催大会で敗れた12年前の苦い記憶がありました(2016年7月14日発売/Number906号より)。

 傷んだ左脚を包むテーピングが痛々しかった。

 タッチラインの外側で、クリスティアーノ・ロナウドは、フランスの猛攻を受けるポルトガルとともに戦っていた。

 延長後半、指揮官のフェルナンド・サントスとベンチ前のライン際に並び、大声でチームメイトに指示を出した。

 攻め急いでボールを失った選手たちに、自らの手首を指差してみせ、「時間を考えろ!」と激しく叫んだ。エデルには相手を背負ってのボールキープのやり方を、ナニとクアレスマには時間を稼ぐためのサイドでのドリブルを、身体の動きをまじえ、必死に伝えた。左サイドバックのラファエル・ゲレイロの足がつり、ピッチに倒れこんだときには、フランスのベンチ前まで足を引きずりながら進み、デシャン監督の横で背中を押した。

ピッチにいたのはわずか25分。

 スコアボードに1-0のスコアが示されている。ポルトガルにとって初めてのタイトルが近づいていた。

 やがて主審の笛が鳴る。ポルトガルの選手たちは一斉にピッチに駆け出し抱き合った。ロナウドはベンチ前に倒れ込み、涙を流していた。

 この試合、ロナウドがピッチの上にいたのは、わずか25分間だけだ。

 前半8分、パイエとの激しい接触で左脚を痛めた。ピッチに倒れ込み、芝生を激しく2度叩き、左脚を押さえる。一度はピッチに戻ったものの、続けることはできなかった。顔を手で覆い、担架でピッチを去っていくロナウド。

 誰もが思った。長く続いたポルトガルの冒険も、これで終わりだと。

【次ページ】 フランスを苦しめたポルトガルの堅守。

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クリスティアーノ・ロナウド

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