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EURO2020延期で誰が得した?
1年という時間がもたらす影響。
text by
デーブ・アパドゥーDave Appadoo
photograph byFranck Faugere/L'Equipe
posted2020/06/28 19:00
EURO延期のため36歳で臨むことになったクリスティアーノ・ロナウド。この1年が彼にどんな影響をもたらすのか。
得事例3:フランス代表
ディディエ・デシャン監督が、ワールドカップ優勝の偉業を成し遂げた選手たちを、今ここに再び招集するのは難しい。フランス代表の幾人かの選手にとって、今シーズンは長い苦難の道であったといえる。かたや長期の怪我に苦しんだもの――ウスマン・デンベレやポール・ポグバ、ルーカス・エルナンデス、ムサ・シッソコ、フロリアン・トーバン、エンゴロ・カンテなどなど――がおり、かたやクラブで難しい状況に陥ったものたち――アントワン・グリーズマンやコランタン・トリソ、オリビエ・ジルー、タンギ・ヌドンベレ、トマス・ルマー、アルフォンス・アレオラら――がいた。試合の度ごとにDD(デシャンの愛称)は、どんなグループをどんな状態で招集できるのか、一から考え直す必要があった。
だが、世界は見ての通りである。デシャンは重傷により長期離脱した選手たちの回復を期待でき、他の選手たちもスポーツ面の状況が大きく改善されるチャンスを得たのだった。それはまた、世界チャンピオンがEUROに“優勝候補”として臨むために必要な時間でもある。
得事例4:怪我人たち
大きな怪我をしている選手たちが、コロナという災禍に助けられている現状はなんとも皮肉だ。
今季もメンフィス・デパイやマーカス・ラッシュフォード、ハリー・ケインといった第一線で活躍する選手たちが重傷を負い、戦線を離脱してEUROの参加が望めない状況にあった。ウスマン・デンベレもそのひとりである。この2月に右太ももを負傷したデンベレは、検査の結果、大腿二頭筋近位腱(tendon proximal)断裂と診断され、手術の後6か月間のリハビリが必要といわれた。
もちろん現在の状況を考えれば、ここぞのタイミングでコロナの第二波が来ないことを祈る以外にない。だが、日程が変更になったことで、彼にEURO出場の可能性が巡ってきたのは間違いない。
それでは延期の悪影響を受けたものたちは誰だろう。