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EURO2020延期で誰が得した?
1年という時間がもたらす影響。
text by
デーブ・アパドゥーDave Appadoo
photograph byFranck Faugere/L'Equipe
posted2020/06/28 19:00
EURO延期のため36歳で臨むことになったクリスティアーノ・ロナウド。この1年が彼にどんな影響をもたらすのか。
損事例1:ベルギー代表
2018年7月10日、ワールドカップ準決勝フランス戦の敗戦(0対1)は、ベルギーにとっていまだ忘れられないトラウマである。ベルギーはその悪夢を払拭しリベンジを果たして、黄金世代に相応しい初の国際タイトル獲得を狙っている。
だが、時間は容赦なく過ぎ、年齢の壁にぶつかる選手が出てきた。バンサン・コンパニは下り坂にあり、ヤン・ベルトンゲンやトビー・アルデルバイレルト、アクセル・ビツェル、ドリエス・メルテンスらはいずれも30歳を超えた。年を重ねることによる影響は避けられない。
フランスやオランダ、イングランド、チーム構築の途中にあるドイツがいずれも不安要因を抱えており、ベルギーは優勝の最右翼である。だが、果たして来年もそうと言えるのだろうか?
損事例2:ベテランたち
それは、今からパフォーマンスを大きく向上させるのは難しい選手たちともいえる。33~34歳を過ぎると、そこからさらに遠い先を見通すことは難しくなる。
世界最高の選手といえどもそれは同じで、ユベントスでの立場が多少微妙になったクリスティアーノ・ロナウドにも多少の懸念はある。来年開催されるEUROに、彼は36歳で臨むことになるからだ。
オリビエ・ジルーは、35歳の誕生日を迎えるまえにEUROに臨むことができる(来年9月30日で35歳になる)。しかし時を経れば経るほど、自身の最後の機会となるであろうメジャー大会出場の可能性は減っていく。同じことはルカ・モドリッチにも言える。ロシアWC決勝の悲劇のヒーローであり、2018年バロンドール受賞者でもあるモドリッチだが、今の彼は2年前の彼と同じではない。35歳でEUROに臨むことになり、来年9月9日には36歳になる。どれだけの輝きをEUROで放つことができるのだろうか。
ベテランたちにとって、1年の違いは死活問題になりかねない。延期はまさに時間との闘いである。