サムライブルーの原材料BACK NUMBER
あと一歩まで導いた関塚隆に聞く。
「東京五輪でメダル」に必要なこと。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2020/06/01 11:40
ロンドン五輪準決勝・メキシコ戦で先制点を挙げた大津は関塚監督のもとに駆け寄った。チームの結束は固かった。
OAには五輪経験者が望ましいと考えた。
――それにしても全員がよく走りました。
「コンディションのところは里内(猛)フィジカルコーチの力もありました。宇佐美、(酒井)高徳の2人はイギリスで現地合流になったんですけど、彼らも含めて里内コーチが個々に合わせたコンディション調整をしてくれました。
小倉(勉)コーチもそうですけど、2人はコーチングスタッフでワールドカップを経験しているので、そこで得たものをもたらしてくれました。それにこのチームを引き上げてくれたという点ではオーバーエイジ(OA)の力は外せないと思います。バックアップメンバーで来てくれた林(彰洋)を含めてね」
――本大会メンバーに入った吉田、徳永の2人はオリンピック経験者です。
「実はオリンピック代表の歴代監督に会って、世界の戦い方やレベルがどうなのか、OAが入った場合、入らなかった場合のチームがどうなのかなどいろいろ聞かせてもらいました。
そのうえで自分の考えをまとめて、今のチームにはオリンピック経験者が望ましいんじゃないか、と。リーダーシップのある麻也が先に決まりましたけど、ケガ明けという事情を考えるとサイドバックとセンターバックの両方をこなせるタイプが欲しかった。それで徳永だ、と」
いい流れを切りたくはなかったが……。
――本人は、辞退する可能性もあった、と。
「いや、絶対に来てもらわなければならなかったし、来てもらうつもりでしたよ(笑)」
――スペインに勝利したとはいえ、中2日で臨むモロッコ戦がヤマでした。1996年のアトランタオリンピックのように初戦に勝利しても第2、3戦の結果で決勝トーナメントに進めなかった過去もあります。
「ケガ人以外はスペイン戦のメンバーを踏襲しました。せっかくのいい流れを切りたくはなかったので。しかし想像以上に疲労が残っていました。初戦に引き分けたモロッコが必死に戦ってきたというのもあります。
この対戦ではもう少しボールを握った内容を想定していた。前半が終わって『どうしたんだ、この内容は』と驚くほど動きが悪かった。でも後半になってようやく調子が戻ってきて、何とか勝ち点3を積み上げられました」