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中澤佑二×熊谷紗希
「やっぱり楽しむことが大事!」

posted2020/06/03 11:00

 
中澤佑二×熊谷紗希「やっぱり楽しむことが大事!」<Number Web> photograph by BS Asahi

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph by

BS Asahi

コロナ禍だからこその対談と言えるかもしれない。

ともに以前「才色健美」に出演し、日本代表でキャプテンを務めた経験を持つ中澤佑二と熊谷紗希が、オンライン上で初対面。

キャプテン論から、日本サッカー、食事法、現在の生活まで、初対面とは思えないほど、話は尽きず……。

中澤 熊谷さんとは初対面だと思うのですが、試合はもちろん拝見していて。強豪国と対戦しても、ディフェンスとして非常にチームを引き締めているイメージがあります。

熊谷 ありがとうございます。でも、まだまだのところもありますね。

中澤 代表のキャプテンは大変ですか?

熊谷 キャプテンだから特別何かをしなくてはいけないとは、あまり思っていないんですよね。年齢的にも、経験的にも、やらなきゃいけないことは理解したうえで、プレーで引っ張るというか。キャプテンマークは試合で巻いているだけ、ぐらいの感覚です。

中澤 それは僕も同じでしたね。僕以外にもキャプテンマークを巻くべき選手はいるんじゃないか、ぐらいの気持ち。実際にプレーで引っ張ってくれる選手もいたし、声でチームを引っ張るプレーヤーも真隣にいましたから(笑)。一人一人がキャプテンのような感じで、僕のときは楽でしたね。

チームがまとまるための「話し合い」。

熊谷 でも個性が強い選手が集まると、まとめるのは大変じゃないですか?

中澤 当時の岡田(武史)監督は「誰かに頼るのではなく、各々がチームのことをしっかり考えてプレーしよう」と言ってくれて。それぞれが自主的に考えて行動していた部分が大きかったけど、自然とまとまりましたね。

熊谷 それでも岡田監督の戦術はあるじゃないですか? 例えば私たちのチームはどちらかというと個に重きを置かれているんですね。うまくいっている時はいいのですが、なかなかまとめられない時もあって。男子はチームとしての決めごとや方向性を話し合ったりするんですか?

中澤 ありますね。特に大会が大きくなればなるほど、選手同士のミーティングは必ずある。そこで必ず最初に話題に上がるのは「俺はこうしたい!」「こうやって勝ちてえ!」みたいな話(笑)。で、それを言い合うと、どこに着地したらいいか分からないまま、1時間、2時間……って過ぎてしまって……。結局やりたいサッカーを述べただけみたいな話し合いになっちゃう。

熊谷 あぁ、わかる気がします。

中澤 話し合いをするうえで大事なのは、最終的にどこに着地したいのかを探していくことかな。チームの目標をどこに置くかを考え、それに向かって各々が意見を述べる。2004年のアジアカップでなぜ優勝できたかというと、選手からはいつものように色々な意見が出たんだけど、優勝したいという最終目標が共通していた。そのためには自分のやりたいことだけやっていたら、勝てないよねというところに着地できたんです。その点、2006年のドイツW杯は、着地点、目標設定が曖昧だった気がするんですよね。優勝したい、まずはグループリーグで1勝したい。そういう思いはあっても、日本代表としてどうやって目標を定めるかが明確ではなかった。誰かの意見を採用する必要はないんです。選手から出てきた着地点や意見を、いかに監督がしっかりと噛み砕いて、チームに落としていくかということ。それはすごく大変な作業なんだけど、それがうまくいくと2010年の南アフリカW杯のように個性は強くても、最後はみんながチームのためにという合言葉で戦ってくれるんじゃないかと。

【次ページ】 代表とクラブのギャップをどう埋めるか。

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