サムライブルーの原材料BACK NUMBER
あと一歩まで導いた関塚隆に聞く。
「東京五輪でメダル」に必要なこと。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2020/06/01 11:40
ロンドン五輪準決勝・メキシコ戦で先制点を挙げた大津は関塚監督のもとに駆け寄った。チームの結束は固かった。
アジア最終予選イコール世界基準ではない。
――壮行試合のニュージーランド戦も途中交代で本大会メンバーではなく、バックアップメンバーをピッチに送り込む場面もありました。
「(選手の)ケガもありましたから。それでも18人のメンバーだけで回していたら疲れが取れないまま本大会に入っていかなきゃいけなくなりますからね」
――ベラルーシ戦の「慣れさせておく」というのは欧州の環境面ばかりではなく?
「あの時代は海外でプレーしている選手が限られていました。海外の選手の間合い、判断スピード、フィジカルというのも“こういう感じか”って分かってもらう、慣れてもらうという意味も当然ありましたよ」
――アジア予選を突破してロンドンオリンピック出場を決めたのが3月。本大会まで4カ月しかないなかで、「対世界」を準備していくのは時間との戦いでもあったと思います。
「アジア最終予選イコール世界基準なのかと言われると、そうじゃない。突破を決めてから世界相手にいかに戦っていくか、ギアを入れていかなければなりません。もちろんチームとしてのベースを持ったうえでどこを上積みしていくかという話ですが。その意味でもオリンピック前に2試合できるというのは有難かったですね」
「ボールは支配されるなって覚悟はしました」
――いろいろ模索して、ガチっとはまることになるのが直前のメキシコ戦。永井謙佑を1トップに置く布陣が固まります。
「5月のトゥーロン国際でも優勝したメキシコと戦ってみて、ボールは支配されるなって覚悟はしました。永井には(4-2-3-1の)1トップで使うか、2列目の左か、それとも流れを変えたいときに途中から使うか、と3つの選択肢がありました。
大津(祐樹)も前で、体を当ててプレーしてくれるのが効いていたというところもある。それに宇佐美(貴史)も決定力がある。(永井に決めたのは)攻守両面にアグレッシブな戦い方を考えてという部分はあります。
中盤は清武、東(慶悟)、(山口)蛍、扇原(貴宏)の連係が非常に良くなっていて、トップ下の東が試合状況でボランチの位置まで戻って守備のカバーもするし、攻撃でも裏への飛び出しも含めて前への推進力を出してくれていたのも大きかった。スペイン戦に向けて見えたものはありました」