サムライブルーの原材料BACK NUMBER
あと一歩まで導いた関塚隆に聞く。
「東京五輪でメダル」に必要なこと。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2020/06/01 11:40
ロンドン五輪準決勝・メキシコ戦で先制点を挙げた大津は関塚監督のもとに駆け寄った。チームの結束は固かった。
選手たちがミーティングをして意見をまとめた。
――戦い方もアレンジを加えていきます。前からの連動したプレスで外に追い込み、攻撃に転じたら1トップに入る永井の快足を活かしていくことになります。
「アジアの相手はボールを持つと縦にボールをすぐ入れてくる傾向が強い。アジア予選のときは守備の際に“縦切り”を意思統一してきましたが、世界相手にどうすべきかというのは選手の感触も確かめながら詰めていきました」
――ベラルーシ戦の後、選手たちがミーティングをして意見をまとめてきて、そこからすり合わせたことも大きかったのでしょうか?
「そうですね。前線から片方のサイドに限定して追い込んでというのはザックさんのA代表で僕もコーチとしてやってきて、(吉田)麻也たちにも意識としてあったんだと思います。(オリンピックで戦う相手は)縦にすぐボールを入れてくることはないんじゃないか、と選手の感触を大事にしたところもありました」
トランジションを本大会のテーマに設定した。
――引いて守るのではなく、全体をコンパクトに、そしてアグレッシブに。
「引いて守っても、(相手に)フィニッシュまで持っていく力があるし、相手にボールが渡っても下がらずにボールを奪い返していこうと、トランジションを本大会のテーマに設定しました。そこはみんな理解してくれて、前向きに取り組んでくれました」
――さて、あのスペイン戦です。「本大会のテーマ」が存分に発揮され、ボールを奪い取ってのカウンターが効きました。清武選手は「絶対に勝てる」と思っていたそうですが。
「試合前からみんなの意欲というものは凄く感じましたね。やるべきことも共有できていたし、躍動感があったし、選手だけじゃなくてコンディション、スカウティングを含めてコーチ、スタッフが一生懸命にやってくれたことが結果につながったんだと思います」
――アンカーのハビ・マルティネスを自由にさせませんでした。
「あそこにボールが入ると縦パスはあるし、展開力もある。永井と東の2人にはとにかく意識させました。コースを限定させて後ろが連動して押し上げていくというのは狙いどおりでしたね」