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シティが抱えるアグエロ後任問題。
最適解はマンU有力のケイン強奪か。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/04/20 11:40

シティが抱えるアグエロ後任問題。最適解はマンU有力のケイン強奪か。<Number Web> photograph by Getty Images

トッテナムの大エースであるケイン。果たして新シーズンの選択肢は残留か、いずれかのマンチェスターか?

ルーニーが厳しく見る古巣の現状。

 今季リーグ中断前の順位は、ユナイテッドが5位(8位トッテナムと4ポイント差)と上位にいる。とはいえ、マウリシオ・ポチェッティーノからジョゼ・モウリーニョへの監督交代、ケイン自身やソン・フンミンの戦線離脱と、トッテナムは不運が相次いでの順位だ。

 一方のユナイテッドは直近のリーグ戦5試合無敗での5位だが、昨季からのオレ・グンナー・スールシャール体制下で過渡期にある。前回のタイトル獲得は3年前のリーグカップとヨーロッパリーグでの優勝だが、2冠を実現した監督はモウリーニョだった。

 1月からダービー(2部)で選手兼コーチのルーニーは、3月のFAカップ対決を前に「あと2、3年はかかる」と、ユナイテッドの復活についてコメントしていたほどである。

 筆者も同感だ。今年7月で27歳になるケインにとっては、歓迎できないタイトルとの距離感に違いない。

長短のパス能力はアグエロ以上。

 その点、シティは4年前からのグアルディオラ体制下で優勝争いの常連と化している。今季プレミアでは、アイメリク・ラポルテをはじとするCB陣の故障もあって2位狙いに甘んじているが、リバプールとの「2強」に異論はない。

 マイナー扱いにはなるがリーグカップは、3月1日に行われた決勝で3連覇を成し遂げたばかりだ。

 その決勝アストンビラ戦(2-1)でも7割のボール支配を記録。もしケインがシティに移籍した際は、“ペップ流”への適応が求められる。アグエロはグアルディオラ就任1年目に適応努力を必要とした。だが、ケインにとっては移籍先での不安材料とはならない。

 コンセプトに共通点のあるポチェッティーノ体制下で主軸となった男は、前線からのプレッシングも周囲との細かな連携も持ち味。過去5シーズンの合計159得点はアグエロの156点と大差ないが、ビルドアップで役に立つ長短のパス能力は、ケインの方が明らかに上だろう。

 シティの愛称「シチズンズ」とかけて、タブロイド紙でアメリカ映画作品名を拝借した『シチズン・ケイン(邦題:市民ケーン)』の見出しが予想できる移籍が実現すれば、得点ペースが加速することも想像に難くない。

【次ページ】 デブライネのラストパスが来たら。

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