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シティが抱えるアグエロ後任問題。
最適解はマンU有力のケイン強奪か。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/04/20 11:40

シティが抱えるアグエロ後任問題。最適解はマンU有力のケイン強奪か。<Number Web> photograph by Getty Images

トッテナムの大エースであるケイン。果たして新シーズンの選択肢は残留か、いずれかのマンチェスターか?

アグエロ帰国ならケイン獲得も?

 主砲見習いとして下積みが続くジェズス。本校執筆時点の数字はシティでのリーグ戦通算92試合で37得点と悪くない。しかし、先輩アグエロが持つ「嗅覚」は別格だ。シティの歴代得点王はリーグ戦だけで通算261試合180得点。31歳の今季もすでに16ゴールで、リーグ再開となればプレミアで6年連続の20得点以上は固い。

 現契約は来季末まで。本人が前倒しで今夏の帰国を望む可能性もあるが、監督が「代役探しは困難を極める」と覚悟しているのも無理はない。

 ところが、ここに来てプレミアで確かな実績を持つ代役を手に入れる可能性が芽生えた。3月後半、『スカイスポーツ』解説者のジェイミー・レドナップを交えたSNS上でのQ&Aセッションでのこと。タイトル獲得へのこだわりと同時に、トッテナム一筋に「固執しない」考えを口にした、ハリー・ケインだ。

 クラブは、すぐさま「非売」のスタンスを取っているが、実権を握るダニエル・レビー会長は良くも悪くも損得勘定が得意な“ビジネスマン”である。新スタジアム開設2年目のクラブ経営者でもあり、噂では2億ポンド(約280億円)とも言われる移籍金で商談を持ち掛けられれば、少なくとも門前払いにはしないと思われる。

 プレミアで通算201試合136得点のケインが動く可能性は、少なくない。

ユナイテッドが最有力と言われるが。

 ただし現時点で最有力とされるのはシティのライバル、マンチェスター・ユナイテッドだ。昨秋にも獲得への動きが国内各紙で報じられている。

 2012-13シーズンを最後にリーグ優勝から遠ざかっているユナイテッドは、同シーズン26得点をあげたロビン・ファンペルシを最後に、リーグ戦で20得点台のストライカーと縁がない。

 ケインは3年連続の得点王を逃したとはいえ、一昨季のリーグ戦ではキャリア初の30得点台に到達。解説者でユナイテッドOBのガリー・ネビルに言わせれば、1980年代のブライアン・ロブソンから2000年代のウェイン・ルーニーまで、国産の最高級タレントを手に入れてきた伝統も汲んだ「完璧な新戦力」と言っていい。

 とはいえ、移籍が実現するには双方向のメリットが必要だ。果たしてケインにとってユナイテッド入りはタイトル獲得への前進を意味するのか?

 答えは「ノー」だろう。後退ではないにしても「横ばい」の域にとどまる。

【次ページ】 ルーニーが厳しく見る古巣の現状。

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