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スポーツの使う言葉、使わない言葉。
毎日新聞校閲センターはこう考える。

posted2020/04/10 15:05

 
スポーツの使う言葉、使わない言葉。毎日新聞校閲センターはこう考える。<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

「かっこよく言えば知の番人」と笑って話してくれた毎日新聞校閲センターの3人。右から川合寛さん、林弦さん、宮城理志さん。

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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Tomosuke Imai

 Twitterで難読漢字や間違えやすい言葉のクイズを出したり、時にはフォロワーと一緒に新しい言葉使いを探るなど、校閲という世界を多くの人に紹介して人気になっている「毎日新聞校閲センター」。
 スポーツの世界も日々新しい言葉が生まれる世界ですが、中には誤用のまま広がっていくものも含まれています。
 言葉の番人たる「校閲さん」は、そんなスポーツ界の言葉たちをどう見ているのでしょうか。前編(https://number.bunshun.jp/articles/-/843099)に続き、お話を聞いていきます。
※本文中A=林弦さん、B=宮城理志さん、C=川合寛さん

――野球でよく迷う漢字に、ホームにかえるの「かえる」があります。「返る」なのか「還る」なのか、はたまた「帰る」なのか。

A)毎日新聞では「還る」を使っています。他社では共同通信や朝日新聞など「かえる」とひらがなにするものが多いですね。「還る」の代用で「返る」と書く場合もありますが、野球では、漢字で書くならば「還る」が共通認識です。「帰る」は使わないと思います。

B)だいたい、どこの新聞社も似たような基準になります。というのも、日本新聞協会に加盟する各社の用語担当者が集まって、すり合わせ等を行なっているからです。ただ、細かいところになるとバラついてくる。ご指摘の「かえす」に関しては、「還」を使わない新聞社にはそれなりの理由があるんです。常用漢字の読みとして「還」は「かん」のみで「かえす」はないんです。その原則に従おうということなのです。

――各スポーツ紙は、系列の全国紙や地方紙のルールに準じているのですか?

B)いや、スポーツ紙はどこも独自路線だと思います。ただ、日本新聞協会の話し合いには参加しているので、まったく別路線ということはありません。

グラブ、プロフィル、マネジャー。

――カタカナ表記に関しても、よく迷います。新聞ですと「グローブ」と「グラブ」も使い分けていますよね。

A)野球は「グラブ」、ボクシングの場合は「グローブ」です。アイスホッケーで使う分厚い手袋もグローブと表記するので、グラブを使うのは野球だけだと思います。

――野球でも一般的にはみなさんグローブと言いますよね。年配の人はときどきグラブと言いますが。

B)慣用になっているという理由で、長いこと使われ続けている言葉もけっこうあります。そこは柔軟に対応していくべきなのだろうなと思っています。

――新聞は「プロフィール」は「プロフィル」、「マネージャー」も「マネジャー」と表記する。それらも実際の会話での発音とはズレていますよね。

B)話し言葉としては「マネージャー」と言うでしょうが、表記は今も「マネジャー」を使っていますね。

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