“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
センバツの注目投手&打者は?
1週間500球実施で継投策が重要に。
posted2020/01/28 11:40
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
3月19日からスタートする選抜高校野球大会の出場校を決定するまでのプロセスが初めてテレビで放送された。CS局、GAORAのスタジオから出場校の解説をするというのが私の役割で、想像以上に神経を張り疲れたが面白かった。
この解説をして考えが変わったのが21世紀枠への思い。私は選手至上主義なので、“文武両道”とか“伝統校重視”という考え方が好きでない。
しかし、この仕事をするため、9地区の21世紀枠候補校が何をやってきたか資料で見て、こんなことをやっているのか、と思いを新たにした。
時間外実習、ボランティア、普及活動。
1校目の帯広農(北海道)は、搾乳や馬の世話をする時間外実習に時間を取られ、全体練習は週末に限られるという制約がある。その中で、昨年秋の北海道大会で3勝して準決勝に進出した。
2校目の磐城(福島)は昨年の10月中旬に日本を襲った台風19号で被災した家屋の片づけなどボランティア活動に半月を費やし、それでも東北大会では名門、東海大山形高や秋田県王者の能代松陽高を破って準々決勝に進出した。
3校目の平田(島根)は園児などに新聞紙を巻きつけた手作りバットを使った野球の面白さを伝える普及活動を数年前から行っているという。中国大会では名門、尾道商を破って準々決勝に進出している。
もし21世紀枠がなければ、高校球児の学校外でのボランティアや野球普及活動は行われなかったかもしれない。以前は学校周辺のゴミ拾いくらいだったのが今はここまで意識が外に向いているのかと知って、少し感動した。
放送では私の出身地、横須賀のことも話した。40万人都市の中で春、夏の甲子園大会に出場していないのは八王子、松戸、横須賀の3都市だけと言われていたのが、2015年夏に専大松戸、2016年夏に八王子学園八王子が甲子園大会に出場し、横須賀だけが取り残された(厳密に言うと、横須賀の現在の人口は39万3025人)。
それが昨年秋の神奈川県大会で三浦学苑が準決勝に進出した。横須賀勢の準決勝進出は1986年夏の津久井浜以来、33年ぶりの快挙である。その後、三浦学苑は神奈川県の21世紀枠の推薦校に選ばれた……とわずか1分程度だが話すことができた。甲子園大会は野球名門校以外にもっと間口を広げていい、というのがこの仕事を終えた現在の私の気持ちである。