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センバツの注目投手&打者は?
1週間500球実施で継投策が重要に。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2020/01/28 11:40
今大会より球数制限が実施されることで、継投策がより重要となる選抜大会。中京大中京のエース高橋宏斗(写真)ら好投手の活躍にも注目が集まる。
注目校がそろう近畿、関東勢。
センバツ出場校32校(21世紀枠選出校を含む)はおおむね予想通りだった。
予想が難しかったのは関東・東京の6校目だ。下馬評では「東京1校が2年も続いたので今年は帝京が選出されるだろう」という声があったが、埼玉県1位の実力と2017年夏の甲子園大会優勝の実績が評価され、花咲徳栄が選出された。
近畿6校は近畿大会決勝に進出した天理と大阪桐蔭、4強進出の履正社と智辯学園が文句なく、残り2校は近畿大会の戦いぶりや旧チームの印象が強い明石商と智辯和歌山が選出された。
この6校は組み合わせ次第では全校が準々決勝に進出してもおかしくないと言われるほど実力が高い。近畿勢の対抗馬は昨年秋の全国大会、明治神宮大会に優勝した中京大中京。ストレートが140キロ台を超える左右本格派2人を擁し、明治神宮大会準決勝で天理から10点奪った打線も強力だ。
近年の甲子園大会で近畿勢に次いで実績があるのが関東勢。昨年春の準優勝が習志野、2017年夏の優勝校が花咲徳栄、2016年夏の優勝校が作新学院という流れを見れば今年も優勝候補の一角に名前を挙げたくなる。昨年秋の関東チャンピオンは健大高崎で、同校は明治神宮大会でも決勝に進出し、中京大中京と3-4の激闘を繰り広げている。優勝経験のある東海大相模、花咲徳栄がここに加わり、近畿勢+中京大中京に挑む。
球数制限実施で継投策がカギ。
今大会から「1週間で500球」という投手の球数制限が実施されるので、継投策が今まで以上に重要になる。好投手を複数人抱えている中京大中京、天理、大阪桐蔭、県岐阜商、仙台育英、星稜は地区大会から継投策で凌いでいるので心配ないが、1人エースのチームは厳しい戦いを覚悟しなければならない。
注目の選手は投手では中京大中京のエース、高橋宏斗(3年 ※以下、新学年表記)の名が真っ先に上がる。明治神宮大会の明徳義塾戦、ネット裏に陣取るスカウトのスピードガンが表示したのが150キロ。左右打者の内、外角低めに140キロ台中盤のストレートを操り、スライダー、フォークボールに威力を秘め、コントロールも安定している。
高橋以外では片山楽生(白樺学園3年)が高橋以上に無駄のない合理的なフォームから最速142キロのストレートを投げ、仙台育英の笹倉世凪(2年)は昨年夏の甲子園大会で1年生投手として話題になった選手。3回戦の敦賀気比戦は1点差の最終回に登板し、最速145キロのストレートを武器に無失点に抑えている。昨年秋は夏の疲労残りを考えたのか東北大会は4試合中12イニングの登板に抑えているのでセンバツでの復調が待ち遠しい。