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長友佑都は特異、では南野拓実は?
新顔の順応はクラブの腕の見せ所。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/01/27 20:30
プレミアデビューを飾り、FA杯でも2試合に出場した南野拓実。ゴールには絡めていないが、クロップ監督は積極起用している。
長友はいい意味で特異体質だ。
日本でも同様のケースがある。
名は秘すが、クラブ側が海の見えるロケーション抜群の一室を提供したにもかかわらず、選手の家族が津波をイメージして早々に帰国した。風評被害といえなくはないものの、環境適応力が選手だけの問題ではないことを顕著に示す一例である。
環境適応には高いコミュニケーション能力も必要だ。長友佑都は、いい意味で特異体質なのだろう。彼はチェゼーナでもインテルでもガラタサライでも、移籍早々“10年選手”のように振る舞えた。
とくにインテルではハビエル・サネッティ、ウェスレイ・スナイデル、サミュエル・エトーといった主力のハートをとらえ、合宿でも長友との同部屋を希望する選手が続出したという。
「会話が楽しくて楽しくて」
なるほど、後にキャプテンを務めるだけのことはある。
さらにテレビで見る限り、愛梨夫人も明るく、親しみやすい距離感の持ち主だ。長友夫妻のコミュニケーション能力であれば、世界中どこに行っても即フィットできるだろう。
香川、南野のケースは……。
長友のようなコミュニケーション能力は持っていないが、マンチェスター・ユナイテッドに所属した当時の香川真司は、リオ・ファーディナンドとウェイン・ルーニーに気に入られていたという。両名ともロッカールームのボスだった。
また、1月1日にザルツブルクからリバプールに移籍した南野拓実も、フィットするまで長い時間は要さないだろう。
ユルゲン・クロップ監督が高く評価し、ビルヒル・ファンダイクとジョーダン・ヘンダーソンが獲得を進言したため、クラブ内では認められた存在だ。なおかつ「選手間は英語、私とはドイツ語で会話する」(クロップ監督)。孤独に苛まれる心配はまったくない。
しかもクロップ監督の場合、選手を長い目でみる余裕がある。デビュー早々に結果が伴わない場合でも辛抱強く起用し、適応力の向上をサポートする。