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監督との不和、低迷を乗り越えて。
原口元気を支えた「カラ元気」。
posted2020/01/27 19:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
ドイツ・ブンデスリーガ2部でプレーをする宿命なのだろうか。
ハノーファーに所属する日本代表MF原口元気に関するニュースは、これまでと比較して明らかに少なくなってきている。
私も、取材に行けたのはシュツットガルトとの2019年最終戦のみ。他のスケジュールや日本国内における需要との兼ね合いもあり、予定に組み込むのが難しいという実情はある。それぞれの選手の動向をしっかりと把握したいという熱心なファン以外となると、やはり注目はどうしても、世界トップレベルで活躍している選手に集まってしまうものだ。
それは、おそらく自然なことなのだろう。毎試合追いかけることは物理的にできない。だから日本代表MF遠藤航がレギュラーとしてプレーしているシュツットガルトとの試合であれ、日本人ジャーナリストが私のほかに1人だけだったのは、そうした事象の表れということなのだろう。
2019年最終戦後に話を聞いてみた。
2019年12月21日。2-2で引き分けたシュツットガルト戦後のミックスゾーンで、原口自身にいろいろ尋ねてみた。
自分の立ち位置をどのようにとらえているのだろう。今季、ここまでの自分をどのように受け止めているのだろう。
「面白かった。勝てないし、大変ですけど、僕自身はすごく楽しかったというか。新しいポジションをやるなど大変なことがあるぶん、ちょっとした成功に対しても喜びが大きい。苦しんでいるぶん成長できたこともたくさんあるし、充実感はあります」
そう語った原口の表情は、苦さも不満も感じさせなかった。清々しささえ感じたほどだ。正直、苦い顔をするかと思って構えていただけに、そのポジティブさには正直、ちょっと驚いた。とはいえ匙を投げたわけでもなければ、開き直ったというのともちょっと違う。シーズン開幕時には試合出場時間が限られた時期さえあったというのに、彼は前向きだった。
「ただ、めちゃくちゃ苦しかったです、最初は。開幕当初の5、6試合くらいかな。正直な話、2部でやるつもりなんかなかった中で残ることになって。そのなかでも切り替える必要があって、でも新しい監督となかなかうまくいかなかった中、本当に2部で試合に出られないんだって……。こんな苦しいことはないな、と思いながら」