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長友佑都は特異、では南野拓実は?
新顔の順応はクラブの腕の見せ所。
posted2020/01/27 20:30
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
新生活には期待と不安が交錯する。
生涯の友に出会うケースがあれば、不快な者に付きまとわれる恐れも出てくる。食べ物が合わなかったり、気候が好きになれなかったり、環境がパフォーマンスに影響する場合も決して少なくない。
転勤・転校を想定すれば、環境に適応することの難しさがお分かりいただけるのではないだろうか。言葉や文化の違いに戸惑い、才能の半分も披露できずに時間だけが過ぎていく……。
半世紀近く前、かくいう筆者も父の転勤に伴い、東京・下北沢から某地方に転校。そして愕然とした。
民放が2局しかない。『三菱ダイヤモンドサッカー』は放映されていない。専門誌も発売日から2、3日遅れて書店に届く。地下鉄がない。標準語をしゃべるだけで「カッコつけやがって」と文句を言われ、理解できない方言も少なからずあった。
いわゆるカルチャーショックである。神田で生まれ育った母も地方に馴染めず、いろいろな理由をつけて帰京していたことをいまでも鮮明に覚えている。
クアドラードはたった5カ月で。
「空が低すぎて怖い」
中央ヨーロッパのとある国に赴任した日本商社マンの家族は、わずか2カ月で日本に舞い戻った。
「年がら年中曇っているし、食事がまずい」
南米の国からイングランドに渡った選手が、よく口にするクレームである。たしかに食事は最悪だ。
「寒い、寒すぎる」
ドイツの気候に閉口する者も少なくはない。イベリア半島を除くと、冬のヨーロッパは極寒だ。
2015年2月、期待されてフィオレンティーナからチェルシーに移籍したフアン・クアドラドも、家族がロンドンに馴染めなかったため、わずか5カ月でUターン(ユベントスにレンタル移籍)していった。