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U-23選手権、ポジション争い構図。
東京五輪の18人に生き残るのは誰?
posted2020/01/09 11:50
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kyodo News
これまでメディアに対して「サバイバル」「生き残り」という言葉をあまり発してこなかった森保一監督が、会見やその後の囲み取材で何度も口にした。
その様子から、いよいよオリンピックイヤーに突入したのだという緊張感が伝わってきた。
今回、23歳以下の選手たちがオリンピックへの生き残りを懸けて戦う舞台――。それがタイで開催されるU-23アジア選手権である。
U-23アジア選手権と聞いても、ピンと来ないかもしれない。それも当然で、今大会でまだ4回目という歴史の浅い大会なのだ。2014年の第1回大会はオマーン、2016年にはカタール、2018年には中国と、これまで2年に1度、1月に開催されてきた。
とはいえ、アジアのサッカーシーンにおいて、この大会は大きな意味を持っている。
オリンピックイヤーに開催された第2回からは、アジア最終予選を兼ねるのだ。
4年前の2016年カタール大会、手倉森ジャパンはグループステージを3連勝で首位突破すると、準々決勝のイラン戦、延長戦までもつれた死闘を制した。この勝利で勢いづいた若き日本代表は、準決勝でイラクを2-1で下して、見事“リオ行き”の切符を手に入れた。
そして韓国との決勝でも2点のビハインドをひっくり返し、初優勝を飾った。2ゴールを決めた殊勲の浅野拓磨がジャガーポーズを決めてゴールセレブレーションを行なう姿を覚えている人もいるだろう。
他国は出場権獲得へ死に物狂い。
今大会も、東京五輪のアジア最終予選を兼ねている。もっとも日本は地元開催のため、五輪出場権はすでに手に入れている。つまり他のライバル国とは、立ち位置が異なるのだ。
五輪の出場権を掴み取るため、死に物狂いで向かってくる相手に対して、すでに出場権を得ている日本が太刀打ちできるのか――。
そんな不安を、森保監督は一蹴した。
「生き残りが懸かっている。選手たちのモチベーションが低いとか、ないとかはあり得ないと思います。相手がどうこうではなく、東京五輪に向けて、その先に向けて思いを持って、志を持って、戦ってくれると思っている」