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なぜ有利な大宮が山形に敗れたか。
J1自動昇格を逃した3位の難しさ。
posted2019/12/03 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
およそどんなレベルでも、勝敗の理由はピッチに転がっている。
12月1日に行われたJ1参入プレーオフ1回戦の大宮アルディージャ対モンテディオ山形戦は、一発勝負のトーナメントに起こりがちな結果となった。リーグ戦を3位でフィニッシュした大宮が、6位の山形に0-2で敗れたのである。
リーグ戦の順位で上回る大宮は、この試合をホームで戦える権利と、引分けなら2回戦に進出できる権利を得ていた。はっきりとしたアドバンテージを持っていた。
今シーズンの大宮は、ホームで13勝6分2敗の成績を残した。勝利数は優勝した柏レイソルよりひとつ少ないものの、2位の横浜FCと同じリーグ2位タイだ。負け数はリーグ最少である。
2敗のうち1敗は熊谷スポーツ文化公園陸上競技場でのゲームで、山形戦を戦ったNACK5スタジアム大宮では、2節のFC琉球戦しか負けていない。「ホームゲームは我々にとって常に特別なゲームだ。絶対に勝つんだ」という高木琢也監督のメッセージは、選手たちの心に沁みついていったと判断できる。
「プレーオフをホームで戦えることについては、今シーズンの勝率を含めてプラスにしか転がらないと思いますよ」と、指揮官は戦前に自信を滲ませていたものだった。
3位が有利とは限らない?
一方で、好ましからざるデータもあった。
負けなければ次のラウンドへ進めるリーグ戦の3位チームは、プレーオフの成績がいまひとつ良くない。
J2チームのみで昇格を争ってきた'12年から'17年のプレーオフを振り返ると、3位からJ1へたどり着いたのは'15年のアビスパ福岡と'17年の名古屋グランパスに限られる。J1の16位チームがプレーオフに加わることになった昨シーズンも、3位の横浜FCは6位の東京ヴェルディに屈した。
'06年に横浜FCを、'17年にV・ファーレン長崎をJ1に昇格させた高木監督は、2度のプレーオフ敗退も経験している。'13年と'15年の長崎で、いずれもリーグ6位での出場だった。