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なぜ有利な大宮が山形に敗れたか。
J1自動昇格を逃した3位の難しさ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/12/03 11:50
J2のクラブがプレーオフでJ1へ昇格するには3連勝が必要になる。大宮はその初戦で敗れ、山形はまず1勝を手にした。
山形のメンタリティはタフだった。
ひるがえって、山形は逞しかった。
木山隆之監督が束ねるチームは、39節と40節に連敗を喫している。41節こそ勝利したものの、最終節は下位のFC町田ゼルビアに競り負けた。4位から6位へ滑り落ちて、プレーオフを迎えることになった。
パターンを作り上げたCKから先制点を奪い、前がかりになった大宮の背後を素早く広く使った2点目は、彼らにとって理想的だっただろう。前半を0-0で折り返してもリズムを崩すことがなかったのは、「後半に勝負を仕掛けていくことが共有できていた」という木山監督のコメントを裏付ける。
黒星が込んだリーグ終盤の流れを引きずることなく、したたかにタフに戦い抜いたのだった。6位だからこそ割り切った思いを抱けるとしても、山形のリバウンドメンタリティは評価されるべきだ。
話を大宮へ戻そう。
リーグ戦で3位に入った'19年シーズンは、この1試合で否定されるものではない。そのうえで言えば、山形戦へ至るまでのピッチに、敗戦の予兆を読み取ることができた。
何が起こるか分からない一発勝負だからこそ、いつもどおりにプレーできるかどうかが大きな意味を持つ。そして、勝利から遠ざかったリーグ最終盤から、大宮は自分たちらしさを発揮できていなかったのだ。