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なぜ有利な大宮が山形に敗れたか。
J1自動昇格を逃した3位の難しさ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/12/03 11:50
J2のクラブがプレーオフでJ1へ昇格するには3連勝が必要になる。大宮はその初戦で敗れ、山形はまず1勝を手にした。
大宮は自動昇格を「逃した」。
'19年の大宮は違った。
未消化分の36節を消化した11月6日の時点で、彼らは2位に浮上した。3位の横浜FCに勝点2差をつけた。ところが、翌40節から3試合連続で引き分けに終わり、横浜FCに2位の座を奪われてしまったのである。
「今日の試合だけじゃない。自動昇格できるところにいたわけだし、3試合引分けてそれが果たせなかった。勝ち切れるところで勝ちきれないのがチームの課題だったと思います」
シーズン途中に横浜F・マリノスから完全移籍し、3-4-2-1の右ウイングバックに定着したイッペイシノヅカは、感情を内面に閉じ込めているようだった。淡々としているようにも感じられる口ぶりが逆に、悔しさを表わしていた。
ゲームキャプテンの三門雄大は「悔しいし、情けない」と切り出した。彼自身は福岡に在籍した'17年も含めて、3年連続のプレーオフ敗退となる。
「リーグ戦でも落としたゲームがある。自分たちの甘さというものが、最後に出てしまったのだと思う」
一発勝負の前のプロセス。
ラスト3試合だけではない。28節終了時点で2位に浮上すると、翌節から連敗を喫した。34節に再び2位となったものの、自動昇格圏をキープすることはできなかった。
勝負どころで勝ちきれなかったことについては、高木監督も頷くしかない。
「J1へストレートインできる順位になった節もありましたが、なぜか順位が上のほうへ行くと星を落としてしまう試合が続いた。その原因がメンタルなのか、やっているサッカーなのか。試合が終わったばかりのいますぐに判断できませんが、チームの習慣になってしまったのかなと思います」
プレーオフは一発勝負のトーナメントだが、ピッチに立つ前のプロセスを見逃すことはできない。大宮がラスト3試合のうちどれかひとつでも勝利していれば、ツエーゲン金沢との最終節だけでも白星をつかんでいれば、彼らのメンタリティに戸惑いや恐れといったものは入り込まなかったに違いない。