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なぜ有利な大宮が山形に敗れたか。
J1自動昇格を逃した3位の難しさ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/12/03 11:50
J2のクラブがプレーオフでJ1へ昇格するには3連勝が必要になる。大宮はその初戦で敗れ、山形はまず1勝を手にした。
「6位に比べると3位はなんて楽なんだろう」
下位チームの立場でプレーオフに臨むメンタリティも知る52歳は、山形戦前に落ち着いた口調で話していた。
「6位に比べると3位はなんて楽なんだろう、と思います。自分たちから何でもできるじゃないか、と。1点取られてもホームの優位性はあると思っているので、僕自身は何も怖くはないですね。引分けでも上がれるというアドバンテージは考えていません。まずスコアで勝つんだ、ということは選手たちに話しています」
ならばなぜ、大宮は敗れてしまったのか。
理由はひとつではないだろう。試合後の高木監督は「とにかくセカンドボールが取れない、プレーのインテンシティが低い、簡単なミスが多過ぎる。そういうものの数が多くなってしまうと、ホームでも厳しいゲームになってしまうなと感じました」と振り返った。
戦術や戦略を語る以前のところで劣り、内容的にも完敗を喫してしまったと言える。
プレーオフにいい状態で入れるか。
不安材料は試合前からあった。
3位から昇格をつかみ取った'15年の福岡は、31節から負けなしでプレーオフを迎えている。さらに言えば、井原正巳監督(当時)が指揮したこのチームは、自動昇格圏の2位以内に一度も入ったことがなかった。
2位の磐田を得失点差で捕まえきれなかったものの、自動昇格を逃した悔しさよりも3位でプレーオフに挑めるという前向きな気持ちが上回っていた。
'17年の名古屋も、自動昇格圏ではなくプレーオフ圏を維持したなかで試合を重ねていった。残り1試合の時点で湘南ベルマーレの優勝と長崎の2位が確定しており、名古屋は最終節の勝利で福岡を抜いて3位に躍り出た。'15年の福岡と同じように、昇格を逃した悔しさを引きずることはなかった。