酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園の観客は本当に増えてる?
実はイチローがいた年が夏の1位。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/08/10 08:00
2018年夏の甲子園決勝、金足農業vs.大阪桐蔭という注目校同士の対決もあって甲子園は超満員となった。
大阪桐蔭が勝つと盛り上がる?
3位:2008年/平均1万8542人
(48試合 89万0000人 49本塁打)
優勝:大阪桐蔭(大阪)、準優勝:常葉菊川(静岡)
主な選手:浅村栄斗(大阪桐蔭)、倉本寿彦、筒香嘉智(横浜)、岡田俊哉(智弁和歌山)
大阪桐蔭が決勝で常葉菊川を17-0で下すなど、記録的な打棒を見せた。1990年代なかば以降、夏の甲子園は70万人台でとどまることが多かったが、派手な打撃戦が久々の観客大幅増につながった。
横浜(神奈川)の筒香嘉智は、準々決勝の聖光学院(福島)戦で満塁を含む2打席連続本塁打を放ち1試合個人最多タイとなる8打点。大会通算14打点も個人最多タイ記録。
4位:2018年/平均1万8455人
(55試合 101万5000人 51本塁打)
優勝:大阪桐蔭(大阪)、準優勝:金足農(秋田)
主な選手:吉田輝星(金足農)、根尾昂、柿木蓮、藤原恭大(大阪桐蔭)、小園海斗(報徳学園)
昨年は第100回の記念大会ということもあり、史上最多の56校が出場。試合数が増えたこともあり、観客動員が史上初めて100万人を超えた。
金足農(秋田)吉田の力投が全国の注目を集め、準々決勝以降は満員札止めとなった。金足農は東北勢初の夏の優勝旗を目指したが、結果は周知の通り。また決勝戦の途中まで一人で881球を投げた吉田の「投球過多」が大いに話題になり「球数制限」の議論が巻き起こった。
清宮ブームの2015年も盛況だった。
5位:2015年/平均1万7958人
(48試合 86万2000人 32本塁打)
優勝:東海大相模(神奈川)、準優勝:仙台育英(宮城)
主な選手:小笠原慎之介(東海大相模)、平沢大河(仙台育英)、オコエ瑠偉(関東一)、清宮幸太郎(早実)
清宮ブームが巻き起こった。早実の試合に観客が押し寄せたが、準決勝で仙台育英に敗れる。この他にも平沢大河、オコエ瑠偉などスター性のある選手が多かった。決勝は10-6で東海大相模が仙台育英を下す。決勝打は投手小笠原慎之介のホームランだった。
甲子園球場は、昭和の時代は5万人を超すキャパシティだった。しかし近年の改修で4万7000人になっている。そのこともあって、意外と観客数は伸びていない。
昭和、平成前期までは「試合そのものの面白さ」「好ゲーム」が引き金となって球場にお客が詰めかけた。その一方で最近はアイドル的な選手の人気で客席が埋まる傾向にあるようだ。どちらがいいとは一概に言えないが、高校野球人気の中身が変わりつつあるとは言えるだろう。