酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園の観客は本当に増えてる?
実はイチローがいた年が夏の1位。
posted2019/08/10 08:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
行った人は良く知っていると思うが、春夏の甲子園で高校野球を観戦するのは結構大変だ。
朝8時からの試合の場合、7時には開場になるが、そのタイミングで入場するためには、夜明けくらいから入場券売り場に並ばなくてはならない。前売り券もあるにはあって、ローソンチケットなどで販売しているが、一瞬で売り切れる。今年の夏は7月23日に売り出されたが、その日の早いうちにソールドアウトになったほどだ。
阪神電車の甲子園駅の改札を出てすぐのあたりから、阪神高速をくぐって甲子園球場まで長々と行列ができる。1時間以上待ってやっとチケットを買って、慌てて中に入る。
“これ、何とかならないか”と、いつも思う。同じ甲子園でも阪神戦は大部分が前売りだし、当日券の購入も極めてスムーズ。つまりオペレーションが全く違うのだ。
私は「甲子園で高校野球を見る」と思うと、まず行列に並ぶことを考えてしまう。
昭和の時代は「券、あるよ」とくぐもった声をかける「ダフ屋」を見かけたものだが、今はもういない。以前は球場周辺で野宿をして、チケットを買い占める人もいた。しかし数年前、野宿することはできなくなった。その時期までバックネット裏は自由席だったが、内野指定席ができ、さらにバックネット裏には野球少年を招待するドリームシートができた。
ちなみに、その頃に渦中の人となった「ラガーさん」は、テレビにこそ映らないが以後も毎年春・夏の大会に来ている。
外野席も昨夏から有料になった。
無料だった外野席は、2018年の夏の甲子園から有料になった。
ただ春の甲子園(センバツ)はまだ無料で、外野席に周辺の会社のサラリーマン、OLがやってきてお弁当を食べながら観戦しているのを見かける。食べ終わるとまた出ていくのだ。出入り自由だから、こういうことができるし、なかなか贅沢なものだ。
入るのに苦労をする甲子園ではあるが、これまで「満員札止め」はあまりなかった。私は江川卓の時代から甲子園に行っているが、どんな人気者が出ても満員はほとんどなかった。
しかし数年前から、阪神電車の梅田駅で「今からお出かけになっても入場できません」というアナウンスを聞くことが多くなった。準々決勝あたりで話題の選手が登場すると、札止めになることが多くなったのだ。