“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
もがき苦しむ東京五輪のエース候補。
小川航基の“多彩さ”は水戸で輝くか!?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/07/23 11:50
琉球戦で途中出場ながらゴールを決めたFW小川航基。試合後、希望に満ちた笑顔を見せた。
水戸の選手として、ストライカーとして。
21日のホームFC琉球戦。移籍後初の試合でベンチ入りを果たした小川は、57分MF黒川淳史に代わってピッチに投入される。多くの拍手に包まれたなかで新天地デビューを飾った。
リードする状況での投入となったが、小川が交代の準備をしていたとき、1点を返して反撃する琉球に流れがやや傾むきかけていた。小川は交代直後から精力的なスプリントを攻守で繰り返す。
「流れが悪くなったところでの投入でしたし、『前線で起点をつくってほしい、しっかりと守備をしてほしい』とシゲさんに言われて入りました」
指揮官の意向を忠実に実践するだけでなく、彼は2つの明確な意図を持ってプレーしているのがわかった。1つは水戸の攻守の切り替えが早いサッカーを具現化するために、『水戸の選手として機能する』こと。そしてもう1つが『獰猛なストライカーとしてゴールを奪う』という自我を表現するということ。
「一番に考えていたのは得点のところ。ですが、『新加入選手が入ってちょっとサッカー変わっちゃったね』と言われないように、しっかりとチームの戦術を理解した上でやろうと。しっかりと前から行って、攻守の切り替えを早くする意識は凄く持ってやりました」
15分で3つのチャンスに絡む。
61分、こぼれ球を拾ってカウンターの起点になると、裏に飛び出したMF平野佑一にパスを送り、すぐさまゴール前にスプリントを仕掛ける。平野のスルーパスに抜け出したDF志知孝明が相手DFのタックルに合って倒されると、小川はこぼれ球を素早く拾った。左サイドで仕掛け、FKを獲得した。
67分には右サイドでMF福満隆貴の縦パスに抜け出すと、DFに寄せられながらもダイレクトで中央のFW清水慎太郎に折り返しのパス。71分にはCBンドカ・ボニフェイスのロングフィードに絶妙なタイミングで抜け出し、難しいバウンドをうまく合わせて右足でシュートした。これは琉球GK猪瀬康介のファインセーブにあうが、投入からわずか15分で3つのチャンスに絡んだ。