“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
もがき苦しむ東京五輪のエース候補。
小川航基の“多彩さ”は水戸で輝くか!?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/07/23 11:50
琉球戦で途中出場ながらゴールを決めたFW小川航基。試合後、希望に満ちた笑顔を見せた。
初ゴールは「ジュビロでもやっていた形」
そして、74分に待望の瞬間が訪れる。
右サイドでMF前寛之がターンした瞬間、小川は相手DF2枚の間を指差してボールを要求。
「パッと(MF前の)顔が上がった時に、どこに動こうかと考えた。ディフェンスの背中というか、ちょっと見えづらいところにポジションをとろうと思った。ボディフェイクで一瞬フリーになることができた」
完璧な予備動作でパスコースとシュートコースを作り出すと、MF前から浮き球のショートクロスが届いた。ボールは腰の高さに飛んできたため、胸トラップをするか、足でトラップをするか難しい選択だった。しかも、そのクロスは速いボールだったため、判断が一瞬でも遅れたら、トラップミスとなる。
だが、彼はそれを正確に胸トラップして足元に落とし、間髪入れずに右足を振り抜いた。ボールの芯を捉えたシュートは、ゴール左隅のネットに突き刺さった。
「あの形はジュビロでも自主練習で結構やっていた形だったので、感覚通りというか、トラップしてからのシュートがすごくスムーズだったと思います」
「デビュー戦で負けるのは嫌」
磐田での日々が無駄ではなかったことを証明する移籍後初ゴール。
その後も86分には前線からのハイプレスで相手の横パスのミスを引き出し、88分には相手DFのパス回しのボールを気迫のタックルでカットし、高速カウンターを引き出した。
出場時間はアディショナルタイムを含めて37分間。
わずかではあったが、圧巻のゴールを決めた。チャンスにも何度も絡んだ。
「デビュー戦で負けるのは僕にとっても嫌ですし、こうして勝つことでチームの雰囲気も良くなる。勝てて良かったです。予想以上に水戸の選手たちの切り替えだったり、前から行く迫力が凄くて、まだしっくりといくプレーはできませんでしたが、そこはやっていくうちに良くなっていくと思います」