ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
西川遥輝や中田翔、大田泰示も!
舞台裏で見せる子供への優しさ。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byHokkaido Nippon-Ham Fighters
posted2019/07/23 11:40
「キッズお絵かきコンテスト!」は今年で2年目を迎えた日本ハムでも人気の企画だ。
中田翔の心温まる子供への対応。
子供たちの真っ直ぐでピュアな思いは、一般社会とは異質な世界で戦う選手にも響き、伝わる。そして、それに応えようとアクションも起こし、せめてもの返礼のアクションへとなるのである。
北海道日本ハムファイターズでの広報経験しかないが、心温まる意外な場面に遭遇することがよくある。前述したような子供たちに対する、選手への思い入れである。
まず1つの例として挙げるのが、中田翔選手のケースである。
人気があり、サインのリクエストが多い。対応可能な状況では丁寧に応じるが、練習の合間などすべての要望を受け入れる時間がない場合がある。その際には、子供限定で対処する。「子供だけで、お願いします。大人の人たちは、今日は勘弁してください」などと、プライオリティーを設定する。
ビジター球場で、遠くから叫ぶようにサインをせがんでいる子供がいるのが分かると、広報らスタッフに「あの子からボール受け取ってきて」と耳打ちで要請。
自ら歩み寄ると、その周りに観客らが殺到して収拾がつかない状況になる。それでも、応えてあげたい。こっそりとベンチでサインをしたため「あの子へ渡して、返してきてあげて」という依頼を受けたことが、何度もある。舞台裏で見せる優しさに、よく触れる。
大田も“プレゼント”を用意する。
大田泰示選手も、子供への思いはトップクラスである。ヒビが入り使用できなくなったバット、破けてしまったバッティンググローブ。それを、広報へと預けてくれる。
「子供を見かけたら、お願いします」
その使途は、始球式を務めるなど球場を訪問した子供たちへのプレゼント。実使用の用具を、提供してくれているのである。
読売ジャイアンツ時代からの先輩、現在はチーム統轄本部付きの矢野謙次特命コーチも同じだった。その系譜を受け継ぎ、継続している。思いがけずに、その用具をもらえるラッキーな子供たちの姿を何人も目の当たりにしたが、その驚きと喜びように、こちらも感動する。