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マイアミの奇跡を知る男、上村健一。
讃岐の指揮官は「怖がり」で攻撃的。

posted2019/07/06 09:00

 
マイアミの奇跡を知る男、上村健一。讃岐の指揮官は「怖がり」で攻撃的。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

今季からJ3カマタマーレ讃岐を率いる上村健一監督。現役時代は派手な髪型でも注目を集めていた。

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石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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 現役時代、厳しいマンマークとヘッドの強さ、強気の守備で名を馳せた名DFが、意外な言葉を口にした。

「怖がりなんですよ」

 J3のカマタマーレ讃岐で指揮を執る上村健一監督は、今季が就任1年目。昨年12月の就任会見で「ゴール前にたくさん人数をかけて、圧をかけて攻めたい」と語ったように、攻撃的なサッカーを志向している。

 その理由の1つが、失点を防ぐことを求められるDFならではの「恐怖感」だという。

「自分たちのゴール前にボールがあれば、それだけ失点の可能性が高まるから、怖いじゃないですか。セットプレーからの得点が全体の35~40%と言われている状況で、ゴールの近くでのファウルも怖い。だから、なるべく相手陣内でサッカーをしたいんです」

「攻撃的なサッカー」でJ2復帰を目指す。

 もちろん、それだけが理由ではない。

「お客様が喜ぶ攻撃的なスタイルを目指しています。クラブの調査でも『もっと攻めてほしい』というファン・サポーターの方々の意見が多く寄せられていました。香川県の皆さんに、攻撃的なサッカーを見てもらいたい」

 全22チームで争われるJ2で、讃岐は昇格1年目の2014年は21位に終わり、入れ替え戦の末に残留。その後も'15年が16位、'16年と'17年が19位、昨年が最下位と、下位から浮上できないままJ3に降格となった。

 この5年間は必然的に、戦い方が守備重視にならざるを得なかった。就任1年目、プロチームの監督も初めての指揮官に求められるのは、理想に掲げる攻撃的なサッカーで、1年でのJ2復帰を果たすこと。重要なミッションだが、言葉には充実感が漂う。

「練習でも試合でも、選手は監督の発言を求めている。きちんとしたものを提示しなければいけない、という思いが強くなりました。一つひとつの発言が難しいですが、周りのスタッフ、クラブもサポートしてくれています。やっていて楽しいですよ」

【次ページ】 上村が指導者を志したきっかけ。

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