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マイアミの奇跡を知る男、上村健一。
讃岐の指揮官は「怖がり」で攻撃的。
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/07/06 09:00
今季からJ3カマタマーレ讃岐を率いる上村健一監督。現役時代は派手な髪型でも注目を集めていた。
61得点60失点の極端なサッカー。
ヴァレリー監督が目指したのは、多くの得点を奪い、見ている人に喜んでもらう攻撃的なサッカー。それも極端に前のめりな、守備のリスクを考えないものだった。2ステージ制・全16チームで争われた同年のJ1で、年間通算30試合でリーグ3位の61得点を奪った一方、ワースト2位の60失点という数字が、戦いぶりを如実に物語っている。
当時5人だった控えメンバーに3人のFWを入れる代わりに、控えのGKを入れなかったこともある。それでもセカンドステージでは3位となり、Jリーグチャンピオンシップに進んだ'94年を最後に長らく下位に沈んでいた広島を、久しぶりに上位へと導いた。
広島では伝説ともなっている1年間は、上村監督の記憶に深く刻まれている。
「4-3-3で3トップを前線に残し、GKを除けば7人で守る。そんな感じだから勝っている試合の終盤も、よく押し込まれましたが、DFとしては見せ場が増えるので好きでした。常に攻撃的に戦うスタイルを植え付けて、低迷期の広島を短期間で変えた手腕はすごかったです」
讃岐の課題は積極性の薄れ。
讃岐は今季、開幕5試合を4勝1分けの好スタートから一転、6月に入ると苦しい状況が続いたが、指揮官は前向きだった。
「うまくいかないときに何をするかで、うまくいくようになったとき、それが長く続くかどうかが決まる。建設的な話し合いをしながら、積み上げていけるかが大事になります」
課題は、積極性が薄れていることだった。
「知らず知らずのうちに引いて守ろうとしてしまう。ボールを敵陣へ運ぶときも、失わないことに意識が行き過ぎて、前へのアクションが起こらなくなっていました。得点を奪いたい、そのために敵陣で試合を進めたいのなら、前に運ぶチャンスを逃してはいけない。選手が能動的に動いて、ここというタイミングでスピードアップできるようにしたい」