JリーグPRESSBACK NUMBER
J3クラブの主将が週2で営業マン。
グルージャ盛岡の“働き方改革”。
posted2019/07/07 09:00
text by
菊池康平Kohei Kikuchi
photograph by
Kohei Kikuchi
あなたの会社に現役Jリーガーが飛び込みで営業に来たら――。もしそんなことが起きたら、かなり驚くだろう。それも地元のおらがチームのキャプテンが来たりしたら、なおさらだ。
そんなことが盛岡の地で実際に起きている。
いわてグルージャ盛岡というクラブでは、サッカー選手が「働く」という新たな取り組みが行われているのだ。
ADVERTISEMENT
グルージャが所属するJ3リーグのチームには無給であったり、働きながらプレーしている選手が実は多い。グルージャでも昨年までは約8割の選手がスポンサー企業などで働いていた。
今年2月、33歳にしてクラブ社長に就任した宮野聡は1つの試みをしている。選手の就業先の選択肢を少しでも増やすために、人材サービス業の株式会社パソナとパートナーシップを締結したのである。
セカンドキャリアで通用するスキルを身に付けられる――。そのような仕事や研修を提供することで、アスリートをサポートしたいというパソナの想いと合致し、このプロジェクトは進んでいる。
パートナーシップを組んでから数カ月経ったタイミングで、さっそく3選手の仕事が決まった。働きながらサッカーに打ち込むことでどんな変化が出ているのか、それぞれに話を聞いてみた。
週2回、営業マンとなるキャプテン。
まずはキャプテンの福田友也だ。国士舘大からFC町田ゼルビアとキャリアを重ね、2017年よりグルージャに所属している。
そんな福田は盛岡駅徒歩1分にある高層ビルに拠点を構えるパソナ・盛岡の営業として働いている。サッカーへの影響が出ないように週2回・14時~18時までという勤務体系だ。
週末はアウェイへの移動もあるので、水曜と木曜に勤務することが多い。学生時代は部活に全力を注いでいたのでアルバイト経験もなく、これまでの就業経験は盛岡でのサッカースクールのコーチのみ。スーツを着ての仕事はもちろん初めてだ。
「雰囲気を含めて、働きやすい環境を作ってもらっています。(業務に取り組むことは)始まったばかりでまだ難しい局面にぶつかっていないこともありますが、楽しいですね。もともと営業に興味があり、SEなどの技術系の仕事は不向きかなと感じていました。人と関わる営業は仕事以外にも活きますし、仲間が増えるなど繋がりが広がりますよね。これからの時代は横の繋がりが大事だと思いますから」