サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
南米在住記者からの“コパ通信簿”。
久保、中島以外で通用したのは誰?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/06/30 11:45
久保建英、中島翔哉が打開力を見せた一方で、柴崎岳や岡崎慎司の経験値の高さも再確認する大会となった。
南米とパイプを作った北山氏の逝去。
地元紙は、「美しい試合。今大会のここまでのベストゲーム」と試合そのものを称えた。
極めて不利な状況に置かれながら2点を奪っての引き分けという結果もさることながら、終盤、ウルグアイの怒涛の攻めを凌ぎ切ったのには驚嘆した。
スアレスとカバーニというウルグアイの2トップは、正真正銘のワールドクラス。勝負強さでは南米随一のウルグアイがこのモードに入ると、南米中堅国はもちろん、ブラジル、アルゼンチンでもたいてい堤防が決壊する。
それを、若い混成チームの日本が耐え凌いだ。ウルグアイのシュートミスに助けられた部分もあったが、気持ちの点で最後まで負けていなかった。凡百の勝利よりはるかに価値ある引き分けだった。
この試合で、日本選手は喪章を付けてプレーした。試合の2日前、アルゼンチン在住で、約40年間、日本サッカー協会国際委員として南米サッカー連盟、南米各国の協会やクラブとのパイプ作りに奔走した北山朝徳氏(広島県出身)が亡くなったのである。
日本が地球の反対側で開かれる南米選手権に参加できるのも、北山氏の長年の尽力があったからこそ。私も氏と面識があり、個人的には日本が強豪ウルグアイ相手に誰もが驚く戦いを見せたのは北山氏が天国から最後の手助けをしてくれたとしか思えなかった。
チリ戦を除き相手を恐れなかった。
最後に対戦したエクアドルは、ウルグアイに0-4と大敗し、チリにも1-2で敗れていた。日本もエクアドルもともに勝てば8強という状況だったが、日本がウルグアイ戦と同程度のレベルのプレーができれば間違いなく勝てる相手だった。
先制したところまでは、シナリオ通り。しかし、追いつかれ、決定機がありながらどうしても決め切れない。痛恨の引き分けだった。
GSを振り返ると、チリ戦を除き、日本は相手を必要以上に怖れず、アグレッシブに守り、きちんとボールをつなぎ、縦パス、ドリブル突破、少ないタッチでのパス回しなどで貪欲にゴールを狙った。
選手たちは監督の指示を可能な限り忠実に遂行しようとしていたし、チームとしてのまとまりも良かった。柴崎岳(ヘタフェ)、中島翔哉(アル・ドゥハイル)、久保建英(レアル・マドリー)、三好、冨安健洋(シント・トロイデン)、植田直通(ブルージュ)らは個人としても十分に通用した。