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中島翔哉がコパで放った異質の輝き。
その打開力は南米各国も警戒した。
posted2019/06/29 09:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
この宝石の輝きを失わせてはいけない。
日本が招待国として参加したコパ・アメリカは、中島翔哉(アル・ドゥハイル)が持つ“異質の価値”の大きさをあらためて示した大会でもあった。
日本にとってコパ・アメリカ最後の試合となったエクアドル戦(△1-1)後の取材エリアでは、岡崎との連係を起点として自身が決めた前半15分の先制点への言及はわずかだった。
「良い形でチャンスになって、たまたま自分のところにボールが来ました。得点シーンに関しては良かったです」
それよりも、試合終了間際に訪れたペナルティーエリア内でのシュートをはじめ、多くの得点機を生かせなかったことを悔やんだ。「3点くらい決めるチャンスがあったのに」と敗因を自分に求めた。普段から取材エリアでは声を張るタイプではないが、決勝トーナメントへの切符を逃したことで消沈の色は濃かった。
甘いという人はいるかもしれないが。
しかし、大会全体について述べるときはしっかりと前を向いてこう語っている。
「勝ち負けは絶対に出るもので、すごく大事です。日本代表として戦っている以上は勝つことが求められているし、僕自身も負けるのは嫌いなので求めています。でも、それ以外にたくさん学んだものがある。甘いという人もいるかもしれないけど、確実に成長はできていると思います」
自らの言葉を、歩むべき道の露払いとしているような響きが、柔らかな口調の奥に潜んでいた。言葉そのものには、いかにも彼らしいまっすぐさがあった。
大会中は称賛も批判も受けた。
確かに、守備に関しては、3戦を通じて中島がいる日本の左サイドが狙われる傾向にあった。中島の守備が弱いため、左サイドバックの杉岡大暉の負担が膨大だったのは間違いないし、実際にピンチも多発した。ウルグアイ戦では持ちすぎでボールを失うことも少なくなかった。