サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
チリ戦惨敗は予想通りで期待外れ。
五輪世代に日本代表の意識はあるか。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/06/18 16:30
アレクシス・サンチェスらビッグネームと90分間戦うのは想像以上のパワーを必要としただろう。ただその中でも反骨精神を見たかった。
戦力、連係などで大きな隔たり。
ひるがえって日本である。
東京五輪世代を中心としたチームが久しぶりに集合し、テストマッチもなしにコパ・アメリカに挑んだ。
システムも東京五輪世代が軸足を置いてきた3バックではなく、フル代表仕様の4-2-3-1である。ギャリー・メデル、アルトゥーロ・ビダル、アレクシス・サンチェスらのビッグネームを中心に成熟した連係を作り出すチリとは、チームの現在地に大きな隔たりがあったのは事実である。
劣勢のサイドで対処策はなかったか。
戦略的な視点に立てば、両サイドの攻防が勝敗を分けている。
2列目の右サイドで起用された前田大然が攻撃の局面で中央へポジションを取り、その流れのまま攻守が反転すると、右サイドバックの原輝綺が数的不利にさらされてしまう。
左サイド2列目の中島翔哉と左サイドバックの杉岡大暉の関係は、右よりもさらにシビアだった。中島の守備への関与が乏しく、攻撃の局面でもチームを苦しめるボールの失い方をしていた。日本の左サイドからのCKを含め、3失点目までが左サイドから生まれていたのは必然である。
サイドでの数的不利に対して、2列目の戻りを徹底するのか、横のスライドで人数を合わせるのかは、最後まで徹底されなかった。後半途中に三好康児と安部裕葵が投入されてからは、サイドの守備が多少なりとも整理されていったが……。
0-1で折り返したハーフタイムに、森保一監督は明確な修正をするべきだった。それと同時に、選手自身が能動的に対処するべきでもある。
最終ライン中央で奮闘した植田直通、ダブルボランチの一角でチームを落ち着かせようと腐心した柴崎岳は、五輪のレギュレーションに当てはめればオーバーエイジである。植田とCBのコンビを組んだ冨安健洋は、フルメンバーの日本代表でもポジションをつかんでいる。彼もまた、綻びは見せなかった。