猛牛のささやきBACK NUMBER
“1イニング”に懸けるオリ守護神。
増井浩俊「リリーフの方が楽しい」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/06/15 10:00
榊原翼(左)にウイニングボールを渡した増井浩俊。4月19日の楽天戦では、プロ野球14人目となる通算150セーブを達成した。
1イニングにすべてを注ぐ職人。
クローザーにはクローザーにしか見えない景色がある。
増井は昨年、前半は好調にセーブを積み重ねていたが、後半、失速した。夏場までセーブ王争いのトップに立っていたが、最後は福岡ソフトバンクの森唯斗に抜かれた。
シーズン終盤に失速しないために、今年やっていることはあるかと聞いた時、増井はこう答えた。
「ないですね。毎年ないです。もうとにかく開幕してからずっと全力で、行けるところまでいく、という感じです」
シーズンをどう完走するかというところは見ていないと言う。
「見てない、というか見られないですね。1日1日全力でやる、その積み重ねなので。うまく抜きながらできる人もいるのかもしれないですけど、僕はできません。できるのはもう、次の日にいかに疲れを残さないかということだけです」
1イニングにすべてを注ぐ職人。潔いほどの割り切りと、揺れない心で、増井は今日も淡々と出番に備える。