Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

ホームランは、なぜ増えた?<日本編>
道具や技術に加え、評価軸も変化中。

posted2019/06/16 11:30

 
ホームランは、なぜ増えた?<日本編>道具や技術に加え、評価軸も変化中。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

渋谷真

渋谷真Makoto Shibutani

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

 今季のプロ野球では互いにホームランを打ち合い、得点を奪い合う試合が増えている。ホームラン数が激増しているのだ。

 交流戦開幕に合わせて前年との比較をする。昨シーズンはセ・リーグが135試合を消化し、計235本。パ・リーグが139試合で249本だった。ところが今シーズンはセが160試合で326本。パは159試合で337本。1試合あたりの本数にすると昨季のセが1.74本で、パが1.79本。今季はセが2.04本で、パが2.12本。個人トップも昨シーズンのセがDeNAのホセ・ロペスの15、パが西武・山川穂高の13本だったのに対し、今季はセが巨人・坂本勇人(写真)の19、パが山川の23本。かなりの量産ペースであることは間違いない。

 激増の象徴的なケースが、個人ならソフトバンクの今宮健太、チームならロッテだろう。「バント職人」として知られる今宮だが、今季の犠打はまだない。リーグ上位につける高打率とともに早くも9本塁打。キャリアハイが14本だから、大きな故障に見舞われなければ更新は確実視されている。

 ロッテの量産はさらにすごい。昨季は12球団最少の78本しか打てなかったのに、今シーズンは何とすでに66本。昨シーズン2倍以上打ったソフトバンク(202本と67本)、西武(196本と64本)とほぼ互角の水準まで激増した。驚異の成長率を鳥越裕介ヘッドコーチに分析してもらった。

「レアード(リーグ2位の17本)など補強が成功したこともありますが、やはり大きいのはホームランラグーンですね。単純に狭くなったというだけではなく、中村奨吾、鈴木大地、清田育宏といった中距離打者が、力まなくてもスタンドまで飛ばせるという意識で振れるようになったんです」

 新たなファン開拓を目的として、ZOZOマリンスタジアムは外野席をせり出す形で「ホームランラグーン」を新設。当然、本塁打は出やすくはなるのだが、シーズンの半分は相手本拠地で戦う。「ラグーン弾」そのものの増加分よりも「本塁打を打つのはそれほど難しくはない」と思えるようになったことが大きいという分析だ。ここに挙がった3選手は昨年は計18本だったが、今年はすでに19本記録している。なお、昨年129本塁打を打たれたロッテ投手陣は今年は58本。前年を超えるペースではあるが、自軍の本数が増えて受ける恩恵の方が大きいだろう。当初の目的である観客動員も含め、改修費の元は取れるはずだ。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
ウェブ有料会員になると続きをお読みいただけます。

坂本勇人
今宮健太
千葉ロッテマリーンズ
鳥越裕介

プロ野球の前後のコラム

ページトップ