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中途半端なビデオ判定は逆効果だ!
プロ野球界に足りない「第三者の目」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2019/06/11 08:00

中途半端なビデオ判定は逆効果だ!プロ野球界に足りない「第三者の目」。<Number Web> photograph by Kyodo News

4-4で迎えた8回2アウトの場面で、問題の判定は生まれた。スポーツにおける審判の問題は、永遠のテーマともいえる。

ビデオ判定先進国では第三者の目を重視。

 MLBやサッカーワールドカップにおいては、いずれのケースでもビデオの検証(誤審があったかどうか)には直接、ジャッジを下した審判は関わらないシステムが採用されているのである。

 要は、ビデオ判定にはグラウンド外の第三者の視点を入れることで判断の公平性を担保とすることが通例となっている、ということなのだ。

 ところがNPBのリクエスト制度では、判定の当事者となる審判は除かれるが、その他のグラウンドにいたアンパイアと控え審判達がビデオの検証を行う。

 控えのアンパイアを含めた全員が同じクルーで“第三者”とは言い難く、当事者が当事者の判定を検証するという不自然な形でビデオ検証が進んでいるわけである。

まだまだ改善の余地が多いはず。

 MLBのように大規模なオぺレーションセンターを設けられるほど、NPBに財源がないことは分かっている。ただ、それほど大掛かりではなくとも、同じように1カ所で第三者の専属スタッフによるビデオの検証ができないわけではないとも思う。

 例えばインターネットで各球場の中継画像をNPBにつないで、そこにビデオ検証を担当するスタッフを配置する。そうして現場から要請があったら、そのスタッフがビデオを見て判定を下すという方法だ。

 これならNPBの事務所内に6つのモニターと現場をつなぐ回線を設置すれば解決できるし、費用もそれほどかからないだろう。

 そもそも検証用の映像自体が試合を中継するテレビ局頼りという点にも問題はある。

 各球場で検証用の映像提供ができている現実を考えれば、NPBがきちっと頭を下げて依頼をすれば、第三者による客観的な検証ができる体制を整えることは可能なはずだ。

【次ページ】 システムを支えるのは最終的には人である。

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