プロ野球亭日乗BACK NUMBER
中途半端なビデオ判定は逆効果だ!
プロ野球界に足りない「第三者の目」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/06/11 08:00
4-4で迎えた8回2アウトの場面で、問題の判定は生まれた。スポーツにおける審判の問題は、永遠のテーマともいえる。
システムを支えるのは最終的には人である。
ビデオ判定の導入は、確かに大きな誤審を防ぐという点で効力を発揮している。
リクエスト制度が導入された昨シーズンのリクエスト総回数はセ・リーグ251回、パ・リーグ243回の合わせて494回。そのうちビデオ検証でファーストジャッジが覆ったケースが162回でリクエストの成功率は32.8%だった。それだけ“誤審”が防がれたということになるのだが、果たしてこの数字が多いのか少ないのか。
2017年のMLBでは、1172回のチャレンジがあり成功は589回で成功率は50.2%とかなり高い数字だった。
ADVERTISEMENT
この違いが日本のアンパイアの優秀性を示すのか、それともビデオ判定のシステムの問題なのかは分からない。
ただリクエスト制度によるビデオ検証をするのは人である。
システムの運用にどれだけ客観性を担保し、第三者の目を入れるかは、制度を支える根幹の問題のはずだ。金銭的負担を惜しまずに、システムを確固たるものにすることが、最終的には日本のプロ野球の信頼を維持することにつながっていくのではないだろうか。