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沿道からのヤジに「他の選手が『気にしないで』と…」立教大監督を解任→現役復帰の39歳・上野裕一郎がニューイヤー駅伝で“4人抜き”大激走の衝撃

posted2025/01/02 11:03

 
沿道からのヤジに「他の選手が『気にしないで』と…」立教大監督を解任→現役復帰の39歳・上野裕一郎がニューイヤー駅伝で“4人抜き”大激走の衝撃<Number Web> photograph by Satoshi Wada

39歳ながらニューイヤー駅伝で4人抜きの快走を見せた上野裕一郎。立大監督解任からは波乱万丈なリスタートだった

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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「いやあ、やっぱり走れるっていうことがすごく幸せでした。もうここに戻ってくることはないと思っていたんですけど……」

 7年ぶりにニューイヤー駅伝の舞台に帰ってきた上野裕一郎(ひらまつ病院)は、レースを終えて穏やかな表情でこう話した。

 その久々の上州路で39歳の上野は、3区区間6位と堂々とした走りを見せた。

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 最後にニューイヤー駅伝を走った2018年、上野はDeNAの一員として1区を走り区間31位に終わっている。その年の12月に立教大の男子駅伝監督に就任することになり、新春の上州路で雪辱を果たすことなく、今度は指導者として箱根駅伝を目指すことになった。

 しかし、23年10月の予選会を前に不祥事で解任され、翌24年にひらまつ病院に選手として加入。競技に本格復帰も果たした。

本格復帰わずか1年で…好記録を連発

 立教大監督時代にも“市民ランナー”として走り、選手の練習を引っ張ることもあったが、本格復帰後はその活躍に拍車がかかった。今年5月のゴールデンゲームズinのべおかでは、5000mで38歳の日本記録(13分34秒54)をマーク。さらには、11月の日体大競技会では39歳の日本記録(13分38秒84)を打ち立てた。ブランクを感じさせることなく、復帰して早々に好記録を連発している。

 そして、今回のニューイヤー駅伝での爆走。そのポテンシャルの高さには驚かされるばかりだ。

 今回ひらまつ病院は、1区に荻久保寛也、2区に栃木渡と二枚看板を序盤に並べて、15位以内を狙っていた。だが、2区を終えて16位と、エース格の2人をもってしても苦戦を強いられていた。

「荻久保は悔しい展開だったと思います。荻久保には前の日に『どんな展開になっても俺が請け負うから』っていう話はしていました。栃木には『(3区に)俺がいるから、栃木なりにうまく走ってくれ』と言っていました」

 この言葉通りに、上野は序盤の遅れを見事に挽回してみせた。

 今回の3区には、パリ五輪1万m日本代表の葛西潤(旭化成)と太田智樹(トヨタ自動車)、東京五輪日本代表の伊藤達彦(Honda)、リオ五輪3000m障害代表で1万mの日本記録をもつ塩尻和也(富士通)と、歴代のオリンピアンがずらりと並んだ。

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